全電動建機でカーボンニュートラルに貢献する前田製作所と、ICTで舗装工事の合理化を提案する前田道路:第5回 建設・測量生産性向上展(2/2 ページ)
「第5回 建設・測量生産性向上展」で前田製作所と前田道路が出展。前田製作所は「環境」を切り口に、同社における建機の全電動仕様化の取り組みを紹介し、前田道路は、舗装工の省人化・省力化を実現する2つのICTをパネルで展示した。
舗装工のかたちを変える前田道路の2つのICT
前田道路は、開発した2つのICTをパネル紹介した。その1つは、「かんたんマシンガイダンス」。従来はオペレーターが機械制御をしながら作業していた路面切削工、切削オーバーレイ工、アスファルト舗装工を、情報化施工で行う技術だ。
マシンガイダンスとは、機械の位置情報と事前に作成した3D設計データとの差分を使ってオペレーターの操作を補助する技術で、例えるならばカーナビのようなものだ。
製品紹介担当者は、「これまで切削層の厚さは、熟練した職人の感覚に頼って決められることがあったが、このシステムならば、3D設計データを画面に表示してオペレーターに示すことができるため、誰でもきれいに削れる」と、かんたんマシンガイダンスの特徴を説明した。
対応機器は、路面切削機とアスファルトフィニッシャ。トータルステーション(TS)とプリズムを使う「出来形管理用TS方式」と、GNSS受信機を活用する「GNSS方式」の2つ。「どちらも、3D設計データを使って機器を自動制御するマシンコントロール技術のように専用機械を用意したり、既存の機械を改造したりする必要がなく、使用する機器の機械への取り付けや付け替えも容易なため、導入のハードルが高くない」(製品紹介担当者)。
なお、かんたんマシンガイダンスは、新技術情報提供システム(NETIS)に登録されている(登録番号KT-200144-A)。
もう1つは、「建機搭載型出来形管理システム」。舗装工の中間工程である道路土工、路面工、路盤工程と、最終工程であるアスファルト舗装の仕上がり面の形状を、建機に搭載した小型高解像度レーザースキャナーで計測し、その点群データをリアルタイムに処理して、面管理による出来形管理を行うシステムだ。
現場に自動追尾型トータルステーションやWi-Fi設備を配置し、建設機械に搭載した小型レーザースキャナーで路面の3D形状を走行しながら計測。計測データはWi-Fi経由でPCに送信され、専用ソフトを使って数十分で解析し、3D設計データとの高さの差を色分けしたヒートマップが作成される。作成したヒートマップをクラウドにアップし、Webブラウザを使って現場や遠隔地で閲覧することで、施工精度(合否判定)をリアルタイムで確認・共有できるシステムだ。従来の施工後に人の手で厚さや高さを計測し、書類にまとめていた出来形管理の手法と比べ、大幅に手間と時間を削減できるという。
さらに、路床工からアスファルト舗装工までの各層を計測して、3Dデータとして管理することで、将来の維持活用のフェーズでのデータの利活用も期待される。
建機搭載型出来形管理システムは、令和2(2020)年度i-Construction大賞優秀賞を受賞。前田道路は、2023年度中のサービス提供開始を目指す。
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