置くだけでインフラ監視が実現する西松建設の「OKIPPA」 太陽光発電で24h作動するカメラの新機能:第5回 建設・測量生産性向上展(2/2 ページ)
西松建設が開発した小型センサー「OKIPPA」は、ただ置くだけで24時間のインフラ監視を実現する。これまでに、斜面の傾斜計をはじめ、コンクリひび割れ計測、災害予防監視、農業分野まで、さまざまなシーンでの利用が拡大している。
最新機能を搭載した環境監視クラウドシステム「OKIPPA camera」
販売開始から約5年――。OKIPPAはさらなる進化を遂げている。その1つが、環境監視クラウドシステム「OKIPPA camera」だ。
OKIPPA cameraは、OKIPPAから送信されるデータと連動するカメラユニットで、OKIPPA同様に、外部電源を必要とせず、太陽光発電と機器内部に搭載されたバッテリーで駆動する。監視場所に置いたOKIPPAからクラウドに上げられたデータが閾値を超えると、クラウドからLTE/Wi-Fi経由でカメラユニットに撮影指示が送られる。これにより、低消費電力での24時間の画像記録も備えた監視体制が可能になる。
管理者のスマホやPCには、クラウドからのアラームメールの他に、カメラユニットで撮影したデータがLTE/Wi-Fi経由で届く。管理者は、現地に着く前に変状を画像で確認できるため、早期かつ的確な対応が可能になる。
OKIPPA cameraは、さまざまなセンシング機器と組み合わせて、トンネルの坑口や直上沢部、残土置き場、仮桟橋、アンダーパスなどの利用が想定されている。
また、OKIPPAそのものも、土木分野を超えて、農業向けの展開も始まっている。温度センサーと任意のセンサー“X”を組み合わせ、圃場やビニールハウス、栽培用コンテナ内部などを監視するクラウドシステム「OKIPPA Green T/X」だ。
センサーには、日射センサー、湿度センサー、CO2センサー、雨量計、電極式の接点型水位計。田圃の気温と用水温度、ハウス内の温度と湿度、圃場の気温と雨量や日射量、きのこ栽培用コンテナの温度とCO2濃度、ため池の水位と周辺の気温などの監視で利用が見込まれている。
アクチュエーターとして機能を強化し、新たなサービス創出へ
傾斜計としてスタートし、土木領域から農業領域へと活用領域を広げるOKIPPA。今後はどのような進化を遂げるのだろうか。
担当者は今後の展望として、アクチュエイト(作動させる仕組み)の部分を強化していきたいと語った。「カメラや危険を知らせる回転灯、あるいは野菜栽培コンテナの換気扇といった機器と連携することで、OKIPPAはいわゆるロボットのようなサービスに近づく。建設は、物理的な領域で事業展開をしているので、物理的なロボットが活躍する場面が多々ある。多様なセンシング機器や、頭脳の部分でAIとOKIPPAを連携させて、新しいサービスをつくりあげていきたい」。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 管理者不在の集合住宅で役立つ遠隔検針システム、漏水などの異常検知にも活用可能
本連載では、京セラコミュニケーションシステム LPWAソリューション事業部 LPWAソリューション部 LPWAソリューション1課の海野晃平氏が、Sigfoxの概要やそのネットワークを利用したIoTデバイスなどを紹介。第3回となる今回は建築物における付帯設備でのSigfoxネットワークの活用事例を解説する。 - 土砂災害の対策に効く傾斜監視システム、遠隔点検で省人化を実現
本連載では、京セラコミュニケーションシステム LPWAソリューション事業部 LPWAソリューション部 LPWAソリューション1課の海野晃平氏が、Sigfoxの概要や現場での活用事例などを説明。第2回となる今回はSigfoxネットワークを利用したIoTデバイス・ソリューションについて解説する。 - 人手不足とコスト削減を実現するLPWA「Sigfox」を採用したインフラ傾斜監視システム
西松建設は、度重なる災害で土砂崩れが頻発している事態を受け、インフラ構造物の傾斜監視をクラウドで管理する「OKIPPA104(オキッパ・テン・フォー)」の販売に注力している。このシステムでは、給電や通信の配線作業が不要で、従来方法の約1/2までコストをカットできるため、その分観測点を増やせ、人手不足解消につながる。 - 災害時に傾斜の異常を検知してドローンで現場確認、西松建設×スカイシーカー
西松建設は、人が立ち入れない災害現場などの現場状況を把握するため、傾斜監視クラウドシステム「OKIPPA104」と、スカイシーカー社の「SkySeekerドローンサポート」を連携させた。