竹中工務店が大規模賃貸マンションで国内初の「Nearly ZEH-M」取得 ユニークな換気法も採用した脱炭素ライフの次世代型住宅:ZEH(3/3 ページ)
CO2排出量削減に代表される環境配慮で、特に住宅は近年、建設時だけでなく完成後の運用時にも環境性能が社会要請として求められている。一方、住居者にとっては快適な住機能や魅力的な住まいの需要も高まっている。そのため、次世代住宅には、相反するかのようなニーズを両立させ、持続可能性を備えた快適な居住空間の設計が必要となる。
太陽光パネルの電力を効率的に活用するシステム
代々木参宮橋テラスの創電/創エネは、屋上に設置された太陽光パネル(170キロワット)で行い、発電した電力はキュービクルを介して、共用部/専有部に供給している。電力会社との契約は一括給電とし、太陽光による発電を効率的に活用できるようになっている。
給湯に関しては、エコキュートを採り入れている。だが、その設定は一般的なものとは異なるものとなっている。
一般家庭などに導入されるエコキュートは、料金の安い深夜電力を利用して湯を沸(わ)かす。しかし、多くの太陽光発電パネルを設置した代々木参宮橋テラスでは、住民が外出している昼には、電力が余ってしまう。このため、エコキュートの稼働は日中の電力を応用して湯を沸かすように設定されている。また、エネルギーマネジメントシステムによって、エネルギー収支が効率化できるようになっている。
導入したエネルギーマネジメントシステムは、建物で使用する電力と太陽光発電パネルによる発電量を予測。予測量に応じて、エコキュートの運転を柔軟に対応させる。
エネルギーマネジメントシステム自体は、竹中工務店が持つエネルギーマネジメントシステム「I.SEM(アイセム)」に新たな機能を追加したものだ。システムでは、建物の電力需要や太陽光による発電予測、デマンド制御などからエコキュートの運転計画(スケジュール)を作成し、インターネットで各住戸のエコキュートに送り、使用する電力エネルギー量を最適化している。
他にも、各住戸ではエコキュート、全熱交換器、節湯水栓といった省エネ設備が使われている。省エネと創エネによって基準一次エネルギー消費量の76%を削減した代々木参宮橋テラスは、こうした取り組みによってのNearly ZEH-Mの取得を達成した。
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