災害医療に要する情報を収集して可視化し、提供するシステムを開発:BCP
清水建設は2023年3月、医療機関における災害時の医療救護活動の高度化や効率化に向けて、災害医療に要する情報を収集して可視化し、提供するシステム「MCP支援システム」を開発した。
清水建設は2023年3月、医療機関における災害時の医療救護活動の高度化や効率化に向けて、災害医療に要する情報を収集して可視化し、提供するシステム「MCP(Medical Continuity Plan)支援システム」を開発したと発表した。熊本大学病院災害医療教育研究センターの指導を受けて、人吉医療センターの協力のもとに開発している。
同システムは、防災計画に基づく防災活動や進捗状況、救急患者への医療提供など災害時に変動する業務量、救急患者数や災害医療に携わるスタッフ数、病院スタッフの安否確認や参集情報など、医療提供に求められる基盤情報をリアルタイムに収集して可視化する。
対策本部のダッシュボードやスタッフが保有するタブレットを介して情報を提供。連絡や報告、クロノロジーといった機能も搭載した。特にタイムライン防災が有効な水害での使用に適する。
また、災害の程度(水害ステージ)に合わせて、各スタッフのタスクをそれぞれのスマートフォンに通知できる。スタッフは容易にタスクの完了を報告することが可能で、管理者は未完了のタスクをひと目で把握できる。
さらに、救急患者の人数や災害医療に携わるスタッフの名前、人数をダッシュボードやタブレットに表示可能。対応エリアに所在する重症度別の患者数に対するスタッフ配置数の適否を判断できる。医療機器の使用可能台数も表示できる。
清水建設は、人吉医療センターが2022年10月に実施した防災訓練を通じて同システムを検証した。各防災活動の展開状況のリアルタイムな把握や指示の適切性、医師や看護師の配置判断の有効性、各部署やスタッフによる必要事項の報告の適切性などを評価をしている。
3者は今後、同システムの高度化を図る。また、清水建設は、2023年度から他の医療機関にシステムを提供する計画を明らかにしている。
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