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地方都市「広島」でもBIM設計をスタンダードに!広工大と大旗連合建築設計にみるBIM人材育成と実践例:Archi Future 2022(2/4 ページ)
地方の建設業でも、BIMを本格活用するためには何をすべきか。その1つの答えとして、広島工業大学の即戦力を育てるデジタルデザイン教育と、地方の組織系建築設計事務所での実践例を紹介する。
「広島の業界を挙げてBIM人材の分母を増やす」
2年生が受講するデジタルファブリケーション実習では、レーザーカッター、3Dプリンタ、NC工作機械の3つの操作を学びながら、単にプロトタイプを制作するだけでなく、シミュレーションと融合しながら、デジタルものづくりを模索している。コンピュータのデジタルデータだけでデザイン検討するのではなく、常にリアルな造形物に出力して、それを見ながら再検討したものをデジタルへ戻すことを毎週繰り返し、リアルとデジタルの双方を融合させた設計手法を学べるようになっている。
BIM実習では、より実践的な設計に力点を置いた構成としている。学生自らが設計した案を、2年次にはBIMソフトを使って、スキルが身に付く前の設計課題を洗い出し、もう一度設計し直すことで、より深い学びにつなげている。他にも、3Dでの図面作成など、実務で必要となるスキル習得の機会を与えている。
杉田氏は、こうした実践的な講義を通じて学生のスキルアップを図る一方で、「毎年60〜70人がBIM実習を履修して社会に出ているが、スキルを生かせる就職先がまだまだ少ない」と指摘する。そのため、実務でBIMを扱う人材の母数と活躍の場を増やすことを広島県の建設業界全体で考える必要があるとし、「ヒロシマBIMゼミなどを通じて、地元企業が連携できるコミュニティーづくりが大切だ」と提言した。
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