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「日本の建設業就業者数は世界8位」世界の建設人材をヒューマンリソシアが調査調査レポート(2/2 ページ)

ヒューマンリソシアは、世界の建設人材について129カ国を調査し、調査結果を発表した。調査レポートによると、建設業就業者数は世界で増加している一方、日本の建設業就業者数は減少傾向にあり、給与額も減少していることが判明。また、日本の建設業は65歳以上の就業者の割合が世界で最も高く、高齢化が極めて深刻なだと改めて分かった。

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日本の年間平均給与額は世界18位、給与は伸び悩み

 建設業就業者の年間平均給与額は、日本の建設業就業者の平均給与額は年36,430USドルで、データが取得できた107カ国中で18位となりました(図表5)。なお、1位はアイスランド(82,116USドル)、2位はスイス(78,166USドル)、3位はオランダ(71,332USドル)と上位はヨーロッパ勢が占め、米国は8位(57,494USドル)、韓国は14位(41,823USドル)。

 また、日本の建設業就業者の年間平均給与額は対前年比で2.8%減少した(図表6)。データを取得できた70カ国の約6割にあたる41カ国は給与は増加しており、世界的にみて日本の建設業就業者の給与が伸び悩んでいる。増加率では、1位はドイツ(54.0%増)、2位はキプロス(28.1%増)、3位はマルタ(25.9%増)の順となった。

【図表5 G7構成国の全就業者における建設就業者の比率】
【図表5 G7構成国の全就業者における建設就業者の比率】 出典:ヒューマンリソシア「世界の建設人材レポート」
【図表6 建設就業者の年間給与額の増減率 国・地域別トップ20】
【図表6 建設就業者の年間給与額の増減率 国・地域別トップ20】 出典:ヒューマンリソシア「世界の建設人材レポート」

 続いて、建設業就業者における65歳以上の割合を国別に確認したところ、日本は16.6%で、データを取得できた56か国の中で最も65歳以上の高齢者が占める割合が高い結果となりました(図表7)。

また、建設業における65歳以上の就業者数を取得できた56か国について、人口に対する高齢化率と、建設業における高齢化率を比較すると(図表8)、高齢化率が22.5%のギリシャでは建設業の高齢者の割合は1.9%、高齢化率21.3%のフランスは1.1%と、日本の建設業における65歳以上就業者の割合の高さが際立ちます。

【図表7 建設就業者に占める高齢者の割合/国・地域別】
【図表7 建設就業者に占める高齢者の割合/国・地域別】 出典:ヒューマンリソシア「世界の建設人材レポート」
【図表8 効率化率と建設業で65歳以上の割合】
【図表8 効率化率と建設業で65歳以上の割合】 出典:ヒューマンリソシア「世界の建設人材レポート」

調査結果に関するコメント

 調査結果について、ヒューマンリソシア コンストラクション事業部 事業部長 増子洋行氏は、次のようにコメントしている。

ヒューマンリソシア コンストラクション事業部 事業部長 増子洋行氏
ヒューマンリソシア コンストラクション事業部 事業部長 増子洋行氏

 世界と日本の建設人材について、就業者数、給与額、年齢構成比を調査した結果、世界で建設業に携わる人は増えている一方、日本では建設業就業者数が減少傾向で、給与額も前年比で減っている。特筆すべきは、日本は建設業就業者における65歳以上の割合が、調査対象の56か国のうち最も高く、日本の建設業では極めて高齢化が進んでいる点にある。

 参考までに、日本の建設業就業者の高齢化の推移を「国勢調査」でみると、建設業就業者における65歳以上の高齢者の割合は、2000年の6.3%から2020年の18.0%に大きく上昇(図表9)。全ての業種を対象とした全就業者の高齢化率は15.1%で、2000年からの推移を比較すると、日本の建設業は高齢化が急速に進展していると分かる。

【図表9 日本の建設就業者における65歳以上の比率】
【図表9 日本の建設就業者における65歳以上の比率】 出典:ヒューマンリソシア「世界の建設人材レポート」 ※出典およびデータ取得年が異なるため、図表8の数値と異なる

 建設業界にもグローバル化の波が押し寄せるなかで、日本の建設業各社がグローバル市場で存在感を発揮していくには、若者就業者の確保はもちろん、熟練技術や経験を持つシニア層の活躍推進や海外人材活用など、多様な人材活用を軸とした人材戦略が必要になる。

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