鹿島建設がM7.4の「立川断層帯地震」を想定したBCP訓練を全社一斉で実施:BCP
鹿島建設は、休日の朝7時に都心西部の立川市を震源地とするM7.4、最大震度7の立川断層帯地震の発生を想定し、全社一斉のBCP訓練を実施した。
鹿島建設は2023年2月18日、休日早朝に起こりうる最大級の地震を想定したBCP訓練を全社一斉に実施したと発表した。
ヘリコプターによる視察/輸送と震災対策本部の対応力を強化
鹿島建設本社と首都圏4支店ではこれまでにも、首都直下地震の想定震源地を東西南北に変えて訓練しており、今回は休日の朝7時に都心西部の立川市を震源地とするM7.4、最大震度7の立川断層帯地震が発生したと想定した。
訓練の目的は、地震が発生した場合に速やかに行う必要がある従業員や家族などの安否確認と安全確保、災害対策本部他活動拠点の立上げ、道路や鉄道などの公共インフラや施工中現場の状況把握、支援の実施といった重要業務の習熟度を上げることにある。そのため、練内容は、本社と支店が連携した被災情報の共有や支援計画の検討、ヘリコプターを活用した被災状況の確認など実践的なものとした。具体的には、ヘリコプターを活用した視察や輸送、家族間のメッセージ機能を新しく加えた安否登録、徒歩参集要員や災害対策本部員による拠点立ち上げ、工事現場での「誰もいない時間帯」の発災を想定した対応などだ。
首都直下地震により、鉄道や主要道路が寸断された場合でも、一刻も早く現地を調査して復旧作業を開始する必要がある。ヘリコプターを活用した視察や輸送の訓練では、その対応策としてヘリコプターを活用。東京都江東区の東京ヘリポートから、都心西部地域へ向かい、公共インフラの被災状況や被害を受けた現場を上空から確認し、どのような支援が効果的かを検討した。また、調査員の被災地派遣を目的とした土木系や建築系、事務系社員計3人と、初動段階の通信手段として有用なMCA無線機を運んだ。
安否登録は、首都圏の休日BCP訓練に合わせ、社員や従業員など、計約2万4000人を対象とした。地震発生後、社員が復旧活動に専念するには、家族の安否確認が最優先事項となる。そのため、家族との連絡手段を複数用意し、「従業員安否システム」に追加した家族間メッセージ機能を使用し、それぞれの社員家族間で連絡を取り合った。
拠点立上げでは、休日や夜間に大地震が発生した場合でも迅速に初動対応が開始できるように、本支店や社員寮などの復旧活動拠点から5キロ圏内に住む「第1次参集要員」が各拠点へ集まり、対策本部の立ち上げと通信手段を確保した。2021年の本社周りのオフィス再編に伴い、今回は震災対策本部の情報集約と意思決定機能を東京都港区元赤坂の本社ビルに、土木部門の実務機能を東京都同KTビルに、建築部門の実務機能を東京都港区赤坂の別館ビルと3拠点にそれぞれ配置した。訓練では、土木部門や建築部門の本社と支店が連携し、被害が想定される公共インフラや現場の状況把握や支援計画を検討して、災害対応の機動力が高まったことを確認した。
その他、休日に震災が発生して現場担当者不在のケースも想定。スマートフォンやタブレットで現場社員の参集方法などの情報をシステムに登録し、対策本部と情報共有を行った。さらに、鹿島建設技術研究所開発の旧オンラインハザードマップ「BCP-ComPAS(BCP-Communication and Performance Assistant System)」を活用し、物資の搬送ルートを確認しながら、必要な重機や人員の被災地輸送について検証した。加えて、現場や自宅などに迫る災害情報をタイムリーに通知するシステム「オンライン・ハザードマップPUSH型配信」へ各社員が登録した。
BCP訓練後に、鹿島建設 代表取締役社長 天野裕正氏は、「災害発生時は、まずは家族の安否を確認し、その後、現場や近隣地域、要請を受けた社会へと支援を拡げ、建設会社としての使命を果たしていく。緊急時は、さまざまな対応を短時間で判断する必要があるが、訓練で積み重ねてきたナレッジと日頃のシミュレーション結果を反映することで、鹿島として整然とした対応が可能となる」と総括した。
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