可搬型蛍光X線分析装置の開発でコンクリート塩分濃度測定を1カ月から30秒に大幅短縮、東北大など:維持管理
東北大学と日本大学、オリンパスは、可搬型蛍光X線分析装置の開発でコンクリート塩分濃度測定を1カ月から30秒に大幅短縮することに成功した。実用化により、コンクリート塩分濃度調査の人的負担や時間、コストのいずれでも負担を大きく軽減させることが可能となる。またコンクリートの主要な劣化要因としての塩害を未然に防ぐことにもつながるため、インフラ長寿命化への貢献も期待される。
東北大学と日本大学、オリンパスは2022年12月22日、可搬型蛍光X線分析装置の開発でコンクリート塩分濃度測定を1カ月から30秒に大幅短縮することに成功し、本技術が国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されたと発表した。
インフラの維持管理の省人化や効率化に貢献
「造る」時代から「守る」時代にシフトしつつある建設業界では、少子高齢化による人手不足の環境下でインフラの維持管理は深刻な課題となっている。特に都市部以外のエリアでは、広大な面積にもかかわらず人手が少なく、構造物調査そのものにマンパワーを割くことができない状況にあり、構造物調査の省人化や効率化は欠かせない。
こうした課題の解決を図ろうと、東北大学 未来科学技術共同研究センターの吉川彰氏と大橋雄二准氏、日本大学 工学部 岩城一郎氏と前島拓氏らのグループは、オリンパスの子会社にあたるエビデントの加藤洋氏、復建技術コンサルタントの飯土井剛氏、東北大学発ベンチャーのXMAT 代表取締役 面政也氏とともに取り組み、今回の技術の開発に成功した。
新開発した技術は、従来、1カ月を要したコンクリート塩分濃度測定を1測定点あたり30秒と大幅な短縮。さらに、蛍光X線分析装置のハンドヘルド型への改良で、現場での測定を実現しただけでなく、測定予定場所指定に拡張現実技術を併用することで、位置情報が即時に得られ、測定効率が飛躍的に向上した。
今回の実用化により、コンクリート塩分濃度調査の人的負担や時間、コストのいずれでも負担を大きく軽減させることが可能となる。コンクリートの塩分濃度調査の効率化により、コンクリートの主要な劣化要因としての塩害を未然に防ぐことにつながるため、インフラ長寿命化への貢献が期待されている。
なお、本技術は、新技術に関する情報共有や提供を目的として国土交通省が整備した新技術情報提供システム(NETIS:New Technology Information System)に登録されている。
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