「建設6業種で増収傾向を堅持するも、最終利益で明暗鮮明に」2023年3月期第2四半期決算まとめ:調査レポート(2/2 ページ)
建設業関連の6業種における上場主要10社の2023年3月期第2四半期決算を分析した。第2四半期の決算では、業種ごとで明暗が分かれる結果となった。一方で通期予想では、住宅・不動産業など2業種が上方修正している。
大手ゼネコン3社で増収増益も、全体では収益性が悪化
業種別のうち、主要3業種をみると、「総合工事業」は大手ゼネコンの3社(鹿島建設、大林組、清水建設)が営業利益、経常利益、純利益とも前年同四半期比で増進した。また、鹿島建設は、通期予想も悪化傾向を弱めた判断に変えた。
前年同期比を公表していない各社を除く集計値では、売上高は前年同期比20.0%増、営業利益は22.6%増、経常利益は27.2%増、純利益は23.8%増となった。増収傾向は堅持し、利益も確保しつつあるが、各社の足元では収益性の悪化が広がっている。
「土木工事業」は、事業環境悪化を避けられず大幅減益
「土木工事業」は、東亜建設工業、飛島建設、川田テクノロジーなど6社で2桁以上の大幅な減益。業種全体では増収傾向を保持したが、採算性は大幅に悪化。各社はウクライナ情勢による経済的な影響や、資材の高騰などを要因として見積もっている。
10社合計では、売上高は前年同期比0.3%増、営業利益は41.3%減、経常利益は37.0%減、純利益は37.0%減。
「住宅・不動産業」は三井不動産が健闘、好業績は6企業がけん引
住宅・不動産業は上位4社のうち3社が減益。大東建託は純利益の前年同期比で2桁%の減益を計上しており、資機材の高騰による影響を報告している。業界2位の三井不動産は今回、純利益で16.0%増と2桁の増加率。上位陣で唯一の増収増益となった。
非公表の実績を除く主要10社合計は、売上高が7.0%増。営業利益が6.9%増、経常利益が13.4%増、純利益で18.3%増。営業利益、経常利益、純利益では、6位以降の企業が好業績をけん引している。
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