「地方と都市の新たな関係性を作る」、ハチハチ×日建設計×ロフトワークが地方創生の新会社「Q0」設立:地方創生(1/2 ページ)
「Q0」は、ハチハチ、日建設計、ロフトワークの3社が合同で設立した新会社。複数の地域を拠点とし、日本が抱える社会問題の改善や地域コミュニティーの醸成を目指す。既に秋田県の秋田市とにかほ市、富山県の富山市と南砺市の4エリアで、ゼロエネルギー、家具や古民家の再生を軸に、2025年までに20件のプロジェクトを展開する。
日本の地方には、都市部に先行した高齢化や過疎化、産業の空洞化といった問題が顕在化している。一方で、地方には世界から高く評価される固有の文化も多数存在する。ハチハチ、日建設計、ロフトワークが共同で設立することを2022年9月8日に発表した新会社「Q0(キューゼロ)」は、地方文化を活用し、日本が直面するさまざまな社会問題の解決に向けた実験的な活動を行う。
「Q0」設立の経緯
Q0の社名は、「Question(問い)」と「ゼロエネルギー化」の意味が込められている。代表取締役社長に就任した林千晶氏は、「自分(市民)たちが主体的に、あるいは能動的に、エネルギーを含めて地球にやさしい姿勢や施策をとっていきたい未来の姿を想像して名付けた。そのために、持続可能な未来に向けて、いまの時代を代表するかのような“継承される地域”をデザインする」と話す。
林氏は、大学生のときに「センスメイキング理論」に出会った。センスメイキング理論は、複雑化するビジネスや社会環境では、客観的に対象を分析して戦略を立てる《実証主義的マインド》よりも、自らが環境に飛び込み、働きかけて新しい価値を生み出す《相対主義的マインド》の重要性を説く。QOの活動方針は、センスメイキング理理論をなぞるものだ。
活動方針は、地域に足を運び、今まで聞こえなかった声に耳を傾ける「Listen」、人/場/活動を巻き込み、継承される魅力的な地域をデザインする「Design」、エネルギー収支を考え自分たちで地球にやさしい施策を展開する「Zero Energy」の3つを定めている。
新会社はハチハチ、日建設計、ロフトワークの3社合同で設立。このうちロフトワークは、林氏が“Web、コンテンツ、コミュニケーション、空間などをデザインするクリエイティブ・カンパニー”として2000年に起業した。2022年4月には会長職を退き、現在の代表取締役社長は諏訪光洋氏。プロジェクトマネジメントやデザインリサーチ、デザイン経営などのノウハウをQ0での運営に活用する。
ハチハチは林氏が2022年8月にスタートしたばかりのスタートアップ企業。企業や自治体とともに、プロジェクトマネジメント、デザインリサーチ、デザイン経営など、地方と都市の新たな関係性をつくるQ0での活動の中心として機能する。
各社の役割分担は、Q0は地方にフォーカスし、日建設計とロフトワークは都市部でQ0の活動を支える。林氏は「都市と地方が合わさって、新しいビジネスが生まれるのではないか」と語る。
左より、奥森清喜氏(日建設計 取締役 常務執行役員/Q0 取締役)、林千晶氏(Q0 代表取締役社長/ハチハチ 代表取締役)、大松敦氏(日建設計 代表取締役社長)、諏訪光洋氏(ロフトワーク 代表取締役社長/Q0 取締役)
Q0は、地方を拠点とするプロジェクトを実行しながら、オンラインや都市の情報発信力を活用して活動を加速させるためにメンバーシップも立ち上げる。メンバーシップでは、ハチハチ、日建設計、ロフトワーク以外にも協力者を募り、幅広い知見を融合させながら「どういう形で日本の未来を作っていけば良いのかも話し合っていきたい」(林氏)。
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