現場に配置された建機の位置をBIMモデル上で可視化する技術を開発、五洋建設:山岳トンネル工事
五洋建設は、応用技術やソフトバンクと共同で、BIMモデル上に建設重機の位置をリアルタイムに見える化する技術を確立した。今回技術を五洋建設の統合施工管理システム「PiCOMS」へ実装し大型物流施設建設現場へ適用する実証実験を行い、生産性の向上に貢献することを確かめた。
五洋建設は、応用技術やソフトバンクと共同で、BIMモデル上に建設機械の位置をリアルタイムに見える化する技術を確立したことを2022年8月23日に公表した。
工事期間中における建機の位置情報と稼働時間も収集
建設重機を使用する土工事や杭工事の施工管理では通常、作業員が現場巡回して建機の稼働状況を把握し、重機の位置を配置図へ記入する。しかし、敷地が広く多くの建設重機が動く大型工事現場では稼働状況を理解するのに手間と時間がかかっていた。
一方、五洋建設が開発した統合施工管理システム「PiCOMS(ピーコムス)」は、工事の進捗状況を見える化し、品質管理状況、安全管理状況、作業員配置状況などの情報も一元化して、工事関係者間でリアルタイムに共有する技術で、現場への導入を進めている
そこで、五洋建設は、応用技術やソフトバンクと共同で、BIMモデル上に建設機械の位置をリアルタイムに見える化する技術を開発した。
新たな技術では、建機の位置を高精度位置測位(RTK測位)により特定し、収集したデータを収納する位置情報サーバとPiCOMSサーバを連携させることで、建機のリアルタイム位置と工事進捗状況を組み合せ、BIMモデル上への表示と可視化を実現している。
さらに、可視化された情報は、現場事務所や作業員休憩所の大型モニター、各種タブレットに表示する。加えて、建機の稼働時間も算出し、工事期間中における建機の位置情報と稼働時間の情報も集める。
既に、五洋建設では、最大20台の建機が稼働する杭工事で新技術の性能を検証している。その結果、関係者間で情報共有を達成する作業の自動化と現場のリアルな情報に基づいた打ち合せが可能になり、現場の負担を5分の1に減らせることが判明した。
今後は、今回の技術で取得したデータを蓄積・分析することで、建機の配置計画や稼働状況を考慮し、効果的な施工計画の立案と生産性向上を目的に、各現場へ展開していく見込みだ。また、実稼働時間から建機のCO2排出量を自動算定し、CO2排出量の見える化にも取り組んでいく。
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