三菱電機がエレベーターリニューアル工事を3分割した新サービス、施主が予算に応じて選択可:EV
三菱電機ビルソリューションズは、三菱製エレベーターのリニューアル工事を3段階に分割し、ビルオーナーが予算や工期に応じて選べる新たなサービスを提供している。
三菱電機ビルソリューションズは、老朽化した三菱エレベーターのリニューアル工事サービス「Elemotion+[STEP](エレモーション・プラス[ステップ])」を2022年6月に国内で発売し、現在は販売活動に注力している。
Elemotion+[STEP]は、一定期間に連続して行う従来のリニューアル工事とは異なり、ビル・マンションのオーナーの個別の事情やニーズなどに合わせて工事契約を複数回(最大3回/5年以内)に分割することで、段階的に工事を行うことができるリニューアル工事プラン。対象製品は、1985年〜1994年頃に製造された三菱製「エレペットアドバンスV」。
リニューアル工事を3段階に分割して予算や工期で選択可能に
ここ数年で、国内ではバブル期に竣工した物件が20〜30年を超え、老朽化したエレベーターが年々増加するのに伴い、長期間経過したエレベーター機器を最新のものに交換するリニューアル工事の需要は急速に高まっている。
しかし、国内で3分の1に相当する24万台のエレベーター/エスカレーターのメンテナンスを担う三菱電機ビルソリューションズには、ビルやマンションのオーナーから「一度に纏まった予算の確保が難しいので、計画的にリニューアルを進めたい」「利用者が困らないようエレベーターが使えない時間を極力減らしたい」といったニーズが多く寄せられており、工事の効率化やメニューの拡充が求められている。
そのため、Elemotion+[STEP]は、従来のリニューアル商品「Elemotion+」「Elemotion+[ZERO(ゼロ)]」を加え、これまで一度に実施していたリニューアル工事をステージ1〜3に3分割し、施主の予算や希望する工事期間に合わせて選択できるようにした。
STAGE1は、エレベーターの頭脳にあたる制御盤を最短1日で更新。次のSTAGE2は、かご操作盤や乗場インジケーターなどの操作機器と電気系統を約3日かけて交換。最後のSTAGE3は、心臓部にあたる巻上機の更新と、戸開走行保護装置や2014年度耐震基準といった各種安全対策を2日ほどで全ての工事が完了する。工事費はSTAGE1が398万円〜、STAGE2が450万円〜、STAGE2が597万円〜(税別)。
施主にとっては、予算や工事中のエレベーター停止期間などを考慮して、どのステージでも選択可能で、最大5年間の間に段階的に行える。ただし、STAGE1または2だけでは、工事が終わらず、STAGE3の最新巻上機により、挟まれや落下防止を防ぐ戸開走行保護装置(UCMP)を搭載する工程を経て、Elemotion+[STEP]としてのリニューアル工事が完了する。
三菱電機ビルソリューションズでは、「リニューアル時期(設置後25年)を迎えている三菱製エレベーターは、5年前は約5万台だったが、今では約7.5万台までに増加。今後も対象台数は、年間5000台以上に増える見込みで、施工人員の確保と短工期化により需要の取り込みを図る」と話す。
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