屋根裏から床下まで省エネで涼しい!エアコン1台で“家丸ごと”の次世代空調システム「マッハシステム」:BAS(1/3 ページ)
「マッハシステム」は、空調設計におけるこれまでの常識を覆す、全く新しい空調システムだ。その特徴は、屋根裏から床下を含む住宅全体の温度や湿度を調整し、チリやホコリも取り除けることにある。他の空調システムよりもランニングコストが安く、15年前後で迎える多い大規模メンテナンスの費用も少なくて済むという。
FH(Future House)アライアンスは、大手家電メーカーでエアコンの開発に携わっていた廣石和朗氏が中心となり、2012年に愛知県を拠点とする有志の工務店や設計事務所の協力を得て設立した会社。同社が提供する次世代全館空調システム「マッハシステム(MaHAt System)」は、廣石氏が持つ空調に関するノウハウと、加盟企業各社が持つ優れた技術を融合させて、これまでにない形で具現化した空調システム。
マッハシステムは、市販の壁掛けルームエアコン1台でエネルギー効率良く一定負荷で連続運転し、冷暖房だけでなく、同時に換気空気浄化と除湿も家全体で行う。ここで言う“家全体”とは、屋根裏から床下までを意味する。マッハシステムでは、玄関、廊下、トイレはもちろん、クローゼットや下駄(げた)箱の中にも調整した空気を送る。そのため、家全体の温度・湿度が一定に保たれるだけでなく、強制的に空気循環が行われるので結露やカビなどの発生もないという。
2022年9月にFHアライアンスが創立10周年を迎えるにあたり、渡邊工務店の愛知県・一宮展示場で開催されたマッハシステムを導入したモデルハウスツアーで、次世代全館空調システムの先端技術を体感してきた。
「少温度差」と「大風量」による全館空調システム
マッハシステムは、一般的な空調設備と異なり、冷たい空気/熱い空気を送らない。心臓部には、エアコンが設置され、送風用ダクトの始点「空調室」にあたる。空調室に設置されたエアコンは、夏であれば、室内よりも少しだけ温度の低い空気を作り、複数のファンとダクトを使って室内に送る。家全体の温度や湿度を快適に保ち、一般的な“全館空調”が13〜14度の冷たい空気を送るのと大きな違いだ。
家の各所に送られた空気は、その場所の温度と湿度をわずかに変化させ、部屋やクローゼット内などの空気と混ざり、また空調室に戻ってくる。
マッハシステムは、戻ってきた空気の一部を電子式空気清浄ユニットで清浄し、さらにエアコンで温度を調整した後に、再度、各部屋に送る。これを繰り返すことで空気を浄化しつつ、家の内部全体を快適な温度や湿度に近づけ、家全体を一定の温度と湿度に保つ。
モデルハウスに設置された送風ファンは、1機あたり1時間におよそ200立方メートルの送風能力を持つ。合計24機あるので、1時間の総送風量はおよそ4800立方メートルとなる。モデルハウスの内部だと700〜800立方メートルの容積があるので、1時間あたり6〜7回くらい空気が循環している計算になる。
ちなみに、外気の取り込みには熱交換ユニットを経由させ、温度のロスが少なくなるように設計されている。
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