なぜ今「2人暮らし」向けなのか?太陽光パネル無しで“ZEH”の賃貸住宅「NEW RiSE」:ZEH(1/3 ページ)
大東建託は2022年5月2日、2人世帯のカップルやファミリー層に向けた賃貸住宅「NEW RiSE(ニューライズ)」の販売を開始した。NEW RiSEは、断熱性能や1次エネルギー消費量がともに最高等級となっているため、太陽光パネルを設置せずとも、ZEH Orientedが実現するアパートメント。日本全体で脱炭素化のニーズが高まるなか、近年増加しつつある2人暮らし世帯に合わせて考案された、新時代仕様の集合住宅となっている。
脱炭素社会に向け、二酸化炭素の排出量を軽減させる施策をはじめ、森林管理と新規植林で「排出量」と「吸収量」を同じにする「カーボンニュートラル」といった取り組みは、今や国民全体が意識しなければならない課題となっている。
経済産業省は2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする、「2050年カーボンニュートラル」を提唱。2021年10月には、その実現に向けて具体的な筋道を示す「第6次エネルギー基本計画」が閣議決定されるなど、脱炭素を巡る情勢は刻一刻と変化している。
そうしたなかで、計画の1つに組み込まれているのが、住宅のZEH仕様標準装備だ。経済産業省では、2030年度以降に新築される全ての住宅・建築物について、ZEH基準相当の省エネ性能を確保していくのを目標に設定。建設会社や不動産企業に対しても、対応を呼びかけている。それに先駆けて大東建託では、2017年11月に日本初となるZEH基準を満たす賃貸住宅をリリース。以降も、ZEH賃貸集合住宅の商品化と普及に尽力し、さらなる普及促進と住宅の脱炭素化に力を注いでいる。
抜群の省エネ性能でZEHに対応する2人世帯向け賃貸住宅「NEW RiSE」
大東建託が新たに発売するZEHに対応した2×4の賃貸住宅「NEW RiSE」は、2人世帯向けに設計されており、外観は周辺環境に調和しやすくするために、シックで落ち着いたデザインを採用。その最大の特徴は、圧倒的な省エネ性能にある。断熱性能、1次エネルギー消費量は、ともに最高基準となる「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量等級6」にそれぞれ該当しており、約75〜90年という高い耐久性能を誇る「劣化対策等級3」も取得している。加えて、気密性・断熱性を高めた多層構造の外壁や、遮熱性と紫外線カットを両立する独自仕様の製品「Low-E複層ガラス」などのさまざまな部材や設備により、太陽光パネルを設置しなくてもZEH基準を満たす、「ZEH Oriented」に分類される住宅となっている。
そもそも、ZEHとは何なのか。ZEHとは「Net Zero Energy House」の略語で、太陽光発電による電力創出や省エネルギー設備の導入、外皮の高断熱利用などにより、生活で消費するエネルギーよりも、生み出すエネルギーの方が上回る住宅を指す。脱炭素を掲げる政策によって昨今は急激に世帯数を増やしており、住居者にとっても、光熱費削減につながったり、災害時の非常用電力に備えられたり、補助金制度が充実していたりなど、メリットも多い住宅だ。
その1つ、ZEH Orientedは、ZEHの必須要件は太陽光発電となっているが、東京23区など都市部の敷地面積が狭い場所に建てる場合は、屋根の面積や陽の当たる面積、または時間によって十分な発電量が期待できないことが少なくない。そうした一部の地域で、ZEHを建てる際に適用されるのがZEH Orientedとなる。
商品開発部の峠坂滋彦氏は、「当社ではさまざまなニーズに応えるために、木造・鉄筋コンクリートを含めて業界最多の賃貸住宅を管理している」と話す。
ここ数年、大東建託ではさらにZEH対応の住宅を増加させ、住む人が意識せずとも、自然とSDGsに貢献できる建物づくりを心掛けているそうだ。「住宅の脱炭素化は、当社が社会にとって不可欠な企業となるために、積極的に取り組まなければならない重要課題だ」(峠坂氏)。
同社の供給するZEH住宅では、低圧での電力受電、余剰電力の売電、各住戸における太陽光発電電力の自家消費などを、電力会社とグループ企業の大東建託パートナーズとの間で一括して行う独自の「低圧一括受電システム」を採用。オーナーの負担なく、太陽光発電設備を設置し、システム使用料(固定額)が施主に継続して支払われるなど、リスクを最小限に抑えたZEH賃貸住宅を実現している。
NEW RiSEでも、太陽光パネルや省エネルギー設備を追加することで、省エネルギー性能をより高めることが可能となり、環境への配慮だけでなく、物件オーナーの事業性向上にもつながる。
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