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日本製鉄と共同開発した「壁面吸着型ロボット」など、顧客に寄り添うロボットをオーダーメイドで提供メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2021(1/2 ページ)

アイ・ロボティクスのロボット関連サービスは、顧客の環境や使用シーンを考慮した形で提供されるのが特徴だ。既存のハードウェアを前提とせずに、目的に応じて最適なソリューションを選定して構築する。

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 アイ・ロボティクスは、「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2021」(会期:2021年11月24〜26日、東京ビッグサイト 青海展示棟)で、ドローンやロボットによる点検/保守作業向けのロボティクスソリューションを提案した。今展ではマイクロドローンと壁面吸着ロボットがフィーチャーされたが、今後は現場で取得したデータの分析や解析にも力を入れていくという。

「天井裏の点検」という課題にマイクロドローンを提案


アイ・ロボティクスのブース展開

 アイ・ロボティクスは、2016年に北海道で初めて行われたロボットによる遭難救助技術コンテスト「ジャパン・イノベーション・チャレンジ」での優勝を機に、同年11月に設立されたまだ若い会社。社歴は浅いながらも、「機械化・遠隔化・自動化」による産業基盤のDXを掲げ、既存のハードウェアや技術にとらわれず、顧客にとっての最適解を提供する企業として、独自の存在感を確立している。

 ブースでは、手のひらサイズのマイクロドローンと壁面に貼り付いて塗装や高圧洗浄が行えるロボットなどを展示。ユニークなのは、“ハードウェア(ロボット)ありき”で提案されていない点にある。

 例えばマイクロドローンは、「天井裏の状態を確認したい」という要望に対する答えとして具現化したものだ。一方で、壁面に貼り付くロボットは、足場設置に掛かる作業時間やエンジニア不足に対する解決策として開発。いずれも当初からドローンや壁面ロボットを用いることが前提ではなく、現場課題を解決するための現時点での最適解として提示されている。

 アイ・ロボティクスは、人が入れないまたは危険を伴う狭所や高所の調査、点検、データ分析などに知見を有する。設立後まだ数年のベンチャーながら、重工プラント、鉄道会社、ゼネコン、通信会社などを対象に、他社が手を出しにくい高難易度の案件でも、既に持っているハードウェアやソリューションをそのまま課題解決に当てはめるのではなく、その都度、オーダーメイドで解決案を提示することで、多数の採用実績がある。

 その一例として、マイクロドローンは、大阪の電鉄会社が構内の天井裏を点検しなければならない問題を抱えていたことに応じて開発した。そもそも電鉄会社側から、ドローンというリクエストがあったわけではないという。ブースで説明していたアイ・ロボティクスの寺本拓矢氏は、「天井裏が見られれば、どういった技術でも良かったが、その時のベストな回答がマイクロドローンによる調査点検だった」と話す。


手のひらサイズのマイクロドローン。ヘッドセットを装着した状態で飛行させ、狭隘(きょうあい)部などの点検に使う

 壁面吸着型のロボットも同様のケース。足場の設置が必要で手間も掛かり、高所のために危険も伴うため、壁面作業を効率化したい要望に対し、日本製鉄などと共同で開発を始めた。

 壁面吸着型ロボットでは、足場無しで壁面の高圧洗浄と塗装を可能にする。これにより、作業にあたるエンジニアの安全はもとより、深刻化する人材不足の対策にもつながる。ロボット自体は、日本製鉄、日鉄テックスエンジとの共同開発を終え、該当する国際標準規格(ISO)基準も満たしているという。

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