【新連載】間もなく“宅建業法改正”、不動産取引における「電子サイン」の実態は?:ITで変わる、不動産業界の現在と未来(1)(2/2 ページ)
間もなく2022年5月に宅地建物取引業法(以下、宅建業法)が改正され、不動産契約の場面においても、押印や書面交付のデジタル化が進むと予想されています。そこで、アットホームが実施した「不動産取引における書類のオンライン化・電子サインに関する実態調査」をもとに電子サイン利用の実態を解説していきます。※本記事は、宅建業法改正前(2022年4月時点)に執筆したものです。賃貸借更新時と賃貸借解約時における取引場面では、既に電子サインが認められています。
消費者が電子サインに期待するのは「楽さ」だが「セキュリティ面」に不安の声も
電子サインを利用した人に良かったことを聞いたところ、「記入が楽」「自宅でできて便利」「ハンコを探す必要がない」といった声が挙がりました。煩雑な署名・捺印を楽に、自宅でも行える点が魅力のようです。
実際に、不動産会社とのやりとりで大変だったと感じていることは、「手続きのためだけに不動産会社に足を運ぶこと」がどの段階においても上位でした。
また、普段の生活であまり使わないハンコをこの時のためだけに探さなくて良いというメリットを感じている方もいるようです。
一方、困った点を聞いたところ、「セキュリティ面で本当に信用できるのか不安」「綺麗(きれい)に書けない」という意見がありました。そのため、セキュリティ面での安全性を証明することが今後の課題となりそうです。
コロナ禍の非対面ニーズへの対応が進んでいる不動産会社も
不動産会社のなかには、既に電子サインの利用を進めている会社もあります。自社のWebサイトに解約フォームを設置し、入居者はオンライン上で解約できる仕組みなどがその一例です。或る会社はコロナ禍に導入し、今では管理物件の解約手続きの80%以上を電子サインで実施しており、紙の書類をやりとりするのと比べて、記入不備が減り、手間も時間も大幅に削減できているとのことです。
このたびの宅建業法改正を機に、できるところから少しずつ電子サイン化しようという動きが今後進んでいくことでしょう。消費者にとっても不動産会社にとっても、電子サインによって、双方がスマートになる未来を期待しています。
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