街づくり・防災・インフラ点検で役立つ5G事業を募集、サムライインキュベート:5G(1/2 ページ)
東京都が推進する「5G技術活用型促進開発事業」で、スタートアップを支援する開発プロモーターに採択されたサムライインキュベートは、5Gを活用した技術の街中への実装と事業化を支援するプログラム「GO BEYOND DIMENSIONS TOKYO」を始動した。GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOの実施期間は第1〜3期の全体で2021年11月10日〜2024年3月末を予定している。
サムライインキュベートは、最長3カ年度の長期支援で、ベンチャー企業が開発した5G技術の街中への実装と事業化を後押しするアクセラレータプログラム「GO BEYOND DIMENSIONS TOKYO」をスタートした。
GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOの第1期として、5G技術を用いて生活者視点で快適な街づくりを実現する事業の募集を2021年11月10日に開始した。対象は東京都内に事業所を保有もしくは開設予定のベンチャー企業で、募集の締め切りは2021年12月10日を予定している。
2021年11月10日には、記者発表会を開催し、サムライインキュベート Enterprise Group - Director 山中良太氏がGO BEYOND DIMENSIONS TOKYOの概要について説明した。
会場では、GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOに「街中実装パートナー」として参画する企業を代表し、京浜急行電鉄 広報・マーケティング室 主査 羽根一貴氏、JR東日本都市開発 常務取締役 経営企画部長 桑原健氏、清水建設 フロンティア開発室ベンチャービジネス部 主査 加藤大輔氏、三菱地所 管理・技術統括部 統括 花岡大輔氏が、各社の役割とプロジェクトへの期待を語った。
スタートアップへの実証支援費は約500万円
国内では、各通信会社が5Gのサービスを開始してから数年が経過するが、生活空間で5Gの利用は進んでいない。そこで、GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOでは、街中の施設やインフラ、モビリティといったフィールドとアセットを持つ大手企業が街中実装パートナーとして参画し、ベンチャー企業と事業共創を推進していく体制を整える。
サムライインキュベートの山中氏は、「今回、当社がGO BEYOND DIMENSIONS TOKYOをスタートした理由は、移動通信の業界団体である3GPPが2022年に5Gの規格“Release 16”が社会実装されると発表したからだ。Release 16では、これまでの超高速大容量通信に加え、超低遅延・高信頼と多数同時接続が実現するため、安価なセンサーとプロセッサを搭載した機械でも、5Gを活用しクラウド上のAIと接続することで、自動運転や高精度なセンシングを行えるようになる。そのため、GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOでは、5Gにより、高性能のセンサーとプロセッサを組み込んだ高価な機械にしか困難だったAIとデジタルデータの使用を安い機械でも可能にし、AIとデータの利用を普及させたい」と意気込みを述べた。
第1期の開発支援テーマは、「防災・減災・災害復旧」「インフラメンテナンス」「子育て・高齢者・障害者等の支援」「国際的な観光・金融都市の実現」「交通・物流・サプライチェーン」で、2022年1月中旬に支援するベンチャー企業の事業を公表し、2022年夏にサポートした事業の成果を発表する。2023年には、第1期の支援事業に関して、収益モデルを実証し、2024年にはビジネスの本格的な立ち上げを行う。
「ベンチャー企業がGO BEYOND DIMENSIONS TOKYOに応募するメリットは、事業開発の専門家である当社が、街中実装パートナーとともに無償サポートすることで、表面的なビジネスマッチングではなく、実現性の高い協業を行える点だ。さらに、スタートアップへの実証支援費を約500万円負担する他、企画から実証完遂まで一気通貫で手伝うため、新規のイノベーション事業を展開しやすい。また、事業の立ち上げまでを見据えた最大3年間に及ぶ中長期的な事業化支援が得られ、実証支援費が毎年提供される」(山中氏)。
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