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コロナ禍で変化したオフィス活用、出社率・テレワーク採用率・空室率の動向とは?ファシリティマネジメント フォーラム 2021(3/3 ページ)

ザイマックス不動産総合研究所は、不動産に関するさまざまなアンケート調査を定期的に行っている。研究所では調査結果をもとに、コロナ禍で企業がどのような施策を行っているか、どのような潜在的需要があるのか、また、ポストコロナ時代に向けた企業のワークプレースの在り方と多様化するオフィス活用戦略についても分析している。

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全体の70%はワークプレースを多様に変化させていく意向

 セミナー後半では、ザイマックス不動産総合研究所が東京23区内のオフィス市場を2020年7〜9月にリサーチし、その結果をまとめた「オフィスマーケットレポート 東京 2020Q3」に言及した。

 オフィスマーケットレポート 東京 2020Q3によれば、企業の拡張ニーズを受けて空きが出ても青田買いで消費されてきた影響により、これまで空室率が1%前後で推移し、23区内のオフィス需給はタイトな状況が続いていたが、緩和され始め、2020年の第3四半期では空室率が跳ね上がった。


「オフィスマーケットレポート 東京 2020Q3」の調査結果、コロナ禍の影響で空室率が上昇に転じる

 石崎氏は、これを「企業にとって、オフィスを再編したり見直したりする選択肢が増え、あるでは意味チャンスのとき」と語った後、大都市圏オフィス需要調査2020秋のレポートを振り返った。

 大都市圏オフィス需要調査2020秋では、都市圏の企業は、メインオフィスとテレワークの両方を使い分ける意向が強いという。対象企業のうち、「基本は出社とし、テレワークは緊急対応的な利用に止める」あるいは「収束後は以前と同様に戻す」と考える企業が合計で約30%だった。しかし、残りの約70%は「ワークプレースを多様に変化させていく意向」と回答。なかには、テレワークを拡充してオフィスを縮小するという戦略をとる企業も存在した。


「大都市圏オフィス需要調査2020秋」のコロナ危機収束後のワークスプレースに関する調査結果

 石崎氏は、「ワークプレースの多様化に向けた動きは大企業がけん引する。例えば、出社率を下げ、オフィスをフレキシブルなレイアウトに変更し、テレワークを拡充してオフィスを縮小するなどの取り組みがあたる。この動きは大阪や名古屋などより東京で顕著だ」と明言した。

メインオフィスの価値を再定義する必要性

 このような状況で、メインオフィスに求められるものは、もはや社員全員分の固定席ではない。具体的には、これからのメインオフィスには、コミュニケーションの場や社員のモチベーションを上げる機能が望まれる。そして、企業のブランディングに生かせるものが期待されている。一方、サテライトオフィスには、社員が快適に働くエリアが必要で、通勤ストレスの軽減や多様な働き方の実現には、郊外エリアに分散させなければならない。


POSTコロナに向けたワークプレースの多様化

 講演最後には、ワークプレース戦略の見直しで有効な対策と事例が示された。まず、出社率の制限や各組織もしくは各部署に所属する人員の出社状況を把握する手法として、座席の予約システムの採用が効果的とした。

 コロナ禍でのソーシャルディスタンス確保に関しては、仕事内容に合わせて働く場所を選ぶ柔軟な働き方「ABW(Activity Based Working)」の導入が効き目があり、ABWを取り入れる際には定期借家の期間が終了するタイミングなどを考慮して本社の必要面積を考え直すことも検討材料となる。

 オフィス分散では、従業員が住むエリアを地図上にプロットし、ロケーションごとにどの程度の面積を有すサテライトオフィスを配置すると効率が良くなるかを見える化する方法が役立つ。さらに、既存サテライトオフィスの利用データを分析し、働き方、働く時間、業務などをPDCA(Plan、Do、Check、Act)によって最適化する手段もある。

 サテライトオフィスは、他社の施設を利用してコストを抑えるケー実スもあり、保有する支社や店舗、倉庫、社宅などをサテライトオフィスに転用した企業もいる。

 石崎氏は、「在宅勤務の環境とサテライトオフィスを整備している企業では、その60%がテレワークによって生産性が上がると肯定的に捉えている。これらの企業は、コロナ禍になってからテレワークに取り組んだのではなく、以前から試行錯誤してきた企業である」と語った。

 また、「ワークプレースや働き方の選択肢(増加)はオフィスワーカーの満足度と仕事のパフォーマンスを上げる。今後は、企業とオフィスワーカーがワークスタイルをより一層、柔軟にアップデートしていくだろう」と補足した。


多様な働く場の選択肢がワーカーにもたらす効果

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