感染拡大から1年半――、コロナ禍がもたらした「不動産仲介市場」の変化を読み解く:不動産市場の「今」を知る――アットホームラボ調査レポート(4)(1/2 ページ)
日本がコロナ禍に見舞われてから、1年半あまりが経ちました。1回目の緊急事態宣言の際は、転居の延期や取りやめが相次いだことで、不動産仲介の業況も急激に悪化する事態となったものの、今では働き方や暮らし方が変容した形での住まい探しの動きも戻ってきています。そこで今回は、アットホームが2021年8月23日に公表した「地場の不動産仲介業における景況感調査」から、不動産店の経営者層に聞いた2021年4〜6月期の業況について解説していきます。
賃貸は業況回復に足踏み感、単身者の動きの鈍さが響く
まずはエリア別の業況DI(業況判断指数)の推移を見てみましょう(※DI50=前年並み)。賃貸(赤)は、全14エリアのうち前期比プラスとなったのは「埼玉県」「東京23区」「東京都下」「福岡県」の4エリアにとどまり、前期までの業況回復の流れを維持できませんでした。
なかでも、「東京23区」や「兵庫県」「広島県」ではDI=30台の低水準にとどまっています。特に「東京23区」の不動産店からは、「リモートが定着したので実家に帰る単身者が増えた」「ファミリーやカップルは動くが、シングルはほとんど動かない」など、メイン客層である単身者が動かなかったことが痛手となったとの指摘が目立ちました。
売買は相対的に堅調だが、東京23区は物件不足と価格高騰で停滞
売買(青)は、14エリア中、埼玉県、東京23区、大阪府、兵庫県を除く10エリアで、前期比プラスとなりました。なかでも、首都圏の「千葉県」「東京都下」「神奈川県」と、西日本の「広島県」「福岡県」「宮城県」では、DI=50に迫る動きが見られました。
しかし、「東京23区」は物件不足と価格高騰から、DI=41.4と停滞気味です。一方で近隣エリアは、「23区では土地・建物が高くて買えないので、自然豊かで子育ても快適な郊外で購入するファミリーが増えた」など、都心部から流れてくる購入客を受け止める構図が見えました。
見通しについては、「ウッドショック(アメリカから広がった木材高騰の波)の影響で着工が減り、物件不足と価格高騰が起きるのではないか」といった懸念の声も出ています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.