WELL認証の基礎と最新動向、施設のコロナ対策も評価可能に:WELL認証(2/2 ページ)
パナソニック ライフソリューションズ社は、WELL Health Safety Rating認証取得サポートサービスの試験的な提供を2021年7月に開始し、WELL v2認証取得支援サービスの展開を2022年度にスタートする。
強みは設備メーカーとしてのノウハウ
前記の利点を踏まえて、パナソニック LS社では2021年1月に、東京都港区東新橋の汐留オフィスでWELL Health Safety Ratingの認証を取得し、大阪府門真市の大阪オフィスでWELL v2の認証を獲得している。こういった経験で培ったノウハウを生かし、同社は、WELL Health Safety Rating認証取得サービスの試験的な提供を2021年7月に開始し、WELL v2認証獲得支援サービスの展開を2022年度にスタートする。
パナソニック LS社が展開するWELL認証取得支援サービスの手順は、まず、対象の施設を調査し、WELL認証取得に向けたプランをユーザーに提案。次に、環境測定の結果をWELL認証の基準に照らし合わせて施設の問題点を診断する。続いて、リサーチの結果をベースにWELL対応設備を提示。最後に、専門資格保有者のWELL Accredited Professional(AP)が認証取得で求められる文書を作成し、運営機関への手続きや認証後のフォローを行う。
パナソニック LS社の箱田氏は、「国内にWELL認証コンサル会社は6社あるが、設備メーカーはパナソニック LS社のみで、設備メーカーとしてのノウハウを活用した施設の診断とアドバイスに対応し、空間の評価と改善にも応じる。具体的には、設備仕様の調査と実測から、課題を解消する設備の方式や台数を立案する他、環境シミュレーションソフトとダッシュボードにより使用設備の効果を検証し見える化する」とアピールした。
WELL認証取得支援サービスを担うメンバーは、13人のWELL APと、空気や光、音、気流、データを測定し、シミュレーションして、分析するエンジニアで構成される。また、パナソニック LS社では、保有する大阪オフィスや汐留オフィス内の研究施設「worXlab」、東京都千代田区丸の内で運営に参画している協創施設「point0」で、WELL認証取得で求められる技術の開発と検証を行い、知見を蓄積し、サービスのクオリティをアップしている。
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