三井不動産初の新築賃貸ラボ施設が開業、液体と気体を使った実験に対応するラボを設置:プロジェクト(1/3 ページ)
三井不動産は、賃貸ラボ&オフィス事業「三井のラボ&オフィス」で、計画を進めていた新築賃貸ラボ施設「三井リンクラボ新木場1」が東京都江東区新木場で2021年3月18日に竣工したことを発表した。
三井不動産は、賃貸ラボ&オフィス事業「三井のラボ&オフィス」の都心近接型施設で二弾目となる同社初の新築賃貸ラボ施設「三井リンクラボ新木場1」を東京都江東区新木場でオープンした。
米国では賃貸型ラボ・オフィスの利用が主流に
三井のラボ&オフィスは、本格的なウェットラボ※1とオフィスが一体化した施設の賃貸事業で、三井不動産が、ライフサイエンス領域のイノベーションを促進する場の整備を手掛けるとともに、ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)と連携してコミュニティーを構築するライフサイエンス・イノベーション事業の一環として行われている。
※1 ウェットラボ:創薬や再生医療などの研究者が、液体、気体などを使った研究や実験を行う施設
2021年7月8日に三井リンクラボ新木場1で開催された記者発表会で、三井不動産 取締役専務執行役員 兼 LINK-J 専務理事 植田俊氏は、「現在、ライフサイエンス企業には、知財を保有する研究機関やスタートアップ、ベンチャーキャピタル、公的金融機関などが一体になり協業するオープンイノベーションが求められている。また、米国では従来、郊外の保有研究施設にて単独で多様な開発を進めるライフサイエンス企業が多かったが、近年は都心の賃貸研究施設でさまざまな企業と連携してさまざまな開発を行う会社が増加した。そして、賃貸型ラボ・オフィスの供給量が急増している。例えば、米国マサチューセッツ州ボストンでは、2020年に賃貸型ラボ・オフィスの床面積が2006年と比較して約2倍となる約264万平方メートルとなった。さらに、ボストンのケンブリッジエリアでは、ライフサイエンス企業の大半が賃貸型ラボ・オフィスを利用している」とトレンドを紹介した。
続けて、「一方、国内では、企業が郊外で保有する研究施設がラボ・オフィスの大部分を占め、三井不動産がLINK-Jと構築したコミュニティーの会員からは“都心近接地に賃貸型のウェットラボが欲しい”と多数の意見をもらっていた。このような状況を踏まえて、当社は三井のラボ&オフィス事業をスタートした。ラボ&オフィス事業で開発した施設では、ライフサイエンス企業と協創するスタートアップ、異業種企業、医薬品開発業務受託機関(CRO)も入居するなど、新たな需要を確保している」と付け加えた。
三井のラボ&オフィスで開発する賃貸ラボは、ウェットラボとデスクワークを行うスペースが一体となった施設で、通常のオフィスビルと同様に、什(じゅう)器備品類はテナントが用意し、三井不動産が建物を賃貸する。さらに、給排水・給排気で必要なウェットラボ特有の設備も設ける。
賃貸ラボのタイプは、都心近接型とシーズ近接型の2種類で、都心近接型では、ライフサイエンス企業が、研究機関、病院、異業種企業と連携しやすい環境を整備し、シーズ近接型では、研究機関や先端医療施設と共同研究しやすいように、これらの近くに建物を開発する。現在、都心近接型は、東京都江戸川区の「三井リンクラボ葛西」と三井リンクラボ新木場1の2物件で、シーズ近接型は、三井不動産が2021年11月の竣工に向け千葉県柏市で開発中の施設「(仮称)三井リンクラボ柏の葉」が第一弾となる予定だ。
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