BuildeeとLINE WORKSが連携、LINEのチャット機能追加の効果を大成建設らが解説:製品動向(1/3 ページ)
建設現場向けの施工管理サービス「Buildee」を提供するイーリバースドットコムと仕事用のLINEとして知られる「LINE WORKS」を展開するワークスモバイルジャパンが協業を開始した。今回の協業で、BuildeeとLINE WORKSが連携し、BuildeeからLINE WORKSのチャットが使えるようになる。
イーリバースドットコムは、ワークスモバイルジャパンと協業を開始したことを2021年5月26日に発表し、同年6月23日には、業界の課題や協業の概要、効果、建設業の未来について意見を交わす座談会を都内で開いた。
会場では、イーリバースドットコム 経営戦略室 室長 東修平氏やワークスモバイルジャパン 法人ビジネス本部 市場開発ビジネスディベロップメント マネジャー 大北悠氏、大成建設 建築総本部 生産技術イノベーション部 生産技術ソリューション推進室 室長 田中吉史氏がパネリストとして登壇した。
“3K”から“新3K”へ、建設業のイメージを変えるきっかけに
現在、建設業界では労働時間の問題が山積している。例えば、建設業は他業種と比べて年間の残業時間が約1.2倍長く、週休2日の実施率は全体の約30%に止まる。これらは、「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージと一体となり、入職者の減少に影響を与えている。
上記の課題を解消するために、イーリバースドットコムとワークスモバイルジャパンは協業した。東氏は、業界の人材不足は就労人口の減少という社会課題と関連があるとしながらも、「建設業界のイメージを3Kから新3K(希望、給与、休日)へと変える必要がある」と語った上で、「そのためにBuildeeが役立つように、より一層サービスの強化を図っていく」と話す。
協業の概要
今回の協業では、イーリバースドットコムが提供する施工管理サービス「Buildee(ビルディー)」とワークスモバイルジャパンが展開する業務用のSNS「LINE WORKS(ラインワークス)」を連携することを目的としている。
Buildeeは、建設現場に対して安全で効率的な施工に役立つサービスを提供するクラウドで、ユーザー数や利用する協力会社数が多く、施工管理サービスとしての認知度が高い。特徴は、図面の管理や共有の他、作業現場に必要なさまざまな機能を搭載している点。機能のうち、現場作業間の連絡に役立つ「調整会議」の機能は、上場する主要ゼネコン26社の約7割で活用されている。
一方のLINE WORKSは、仕事用の「LINE」として多くの人に認識される有料のチャットサービスだ。既に膨大なユーザーを抱えるLINEと同様の画面デザインと操作性を備えつつ、業務に必要な機能とセキュリティを実装している。
今回のBuildeeとLINE WORKSの連携は、双方の機能をシームレスにつなぐとともに、Buildeeが持つ管理・共有の機能とLINE WORKSのチャット機能を接続して、BuildeeでLINE WORKSのチャットを使えるようにする。これまで、イーリバースドットコムでは、Buildeeの機能拡張を独自で行ってきたが、LINE WORKSとの連携ではAPIを活用しチャット機能を追加するという初の試みを実施した。
東氏は「LINEに代表されるチャットアプリによるコミュニケーションは、既に社会で広く普及していることもあり、現場でもチャットアプリのユーザーは多数いる。このため、Buildeeを現場で活用するユーザーから“チャットアプリとの連携はできないのか”という意見が当社に多く寄せられていた」とニーズを述べた。
また、Buildeeの調整会議機能や安全な建設を進める上で提出を義務付けられている書類を管理する「労務安全」機能、作業員の入退場をマネジメントする「入退場管理」機能の強化を図る。
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