コロナ対策や生産性向上を実現するビル向けソリューション、ジョンソンコントロールズ:スマートビルディング(1/2 ページ)
ジョンソンコントロールズは、新型コロナウイルス感染症や働き方と環境意識の変化により変わったビルシステムのニーズを踏まえて、BASなどの運用技術とインフォメーションテクノロジーを組み合わせられるプラットフォーム「Open Blue」を開発した。
ジョンソンコントロールズは2021年6月17日、オンラインで「最新のスマートビルの在り方と実現のカギを業界リーダーと語る〜日本で創業50周年を迎えるジョンソンコントロールズによる記念セミナー〜」を開催した。
当日に繰り広げられたセッションの中から、ジョンソンコントロールズ 代表取締役 吉田浩氏の講演「なぜ今スマートビルなのか?」を採り上げる。会場では、ジョンソンコントロールズ代表取締役 吉田浩氏が、同社の取り組みやビルシステムのニーズと変化、新たなソリューションを説明した。
施設の機能をアップデートするソフトウェアの価値を認知する企業が増加
ジョンソンコントロールズは、1885年に米国で創業した会社で、現在は、世界150カ国以上の拠点を保有し、従業員数は10万人を超え、ビルシステムを中核に展開しており、世界に点在する象徴的な高層ビルの90%が同社のソリューションを採用している。本社は、アイルランドのコーク県や米ウイスコンシン州、中国の上海に構えており、各本社のビルでは同社のビルシステムを導入し省エネを実現した。
日本法人は、1971年に設立し、2021年3月時点で、1300人の従業員が所属し、建物のライフサイクル全体で運用を効率化する中央監視システム、自動制御機器、空調冷熱機器、冷凍機、セキュリティシステムの設計、施工、保守、コンサルティングを提供している。同社では、「赤坂サカス」「あべのハルカス」「六本木ヒルズ」といった大型複合施設に中央監視システムなどの導入実績がある。
上記のようにビル向けのソリューションを国内でリリースしてきた知見と近年の調査に基づき、吉田氏は、「内閣府は近年、計画“スーパシティー構想※1”と未来社会のコンセプト“Society 5.0”を策定し、デジタル技術の活用を推進しており、ビルシステムが収集したビッグデータをさまざまな用途で使用しやすくなっている。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で、非接触で操作する機器や人流をトラッキングするシステム、ソーシャルディスタンスを確保するテクノロジーがビルに求められている。加えて、国内では、自然災害が頻発している他、サイバーアタックが増えており、被災時に施設内の設備を制御するセキュリティ性の高いビルシステムが必要となっている。環境性に関しては、カーボンネットゼロとESG(Environment、Social、Governance)への関心が国内で高まっており、省エネとCO2削減を果たせるビルシステムが注目されている」と動向を語った。
※1 スーパシティー構想:地域の課題を最先端の技術により解決することを目的にした構想で、地域の自治体、事業者、国が一体となってさまざまな取り組みを行い、未来の生活を実現する「まるごと未来都市」を目指している。具体的には、政府は、2020年5月末に、「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」を施行し、スーパーシティー型国家戦略特別区域を2020年12月頃に公募し、2021年春に対象地域を選定した
このようなトレンドの変化に伴い、建物は、従来土地の値段と建造物のコストが価値だったが、最近は施設の機能をアップデートするソフトウェアと最適化するAIも資産として国内の企業で認識されつつある。
また、国内の企業では、事業を行う上でコスト全体の92%を人件費が占めていることを踏まえて、作業効率を高める空間の構築や来訪者の良好な施設体験を実現するビルシステムを望んでいる。
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