高年齢者雇用安定法改正による建設会社の影響を調査、7割が“65歳まで定年引き上げ”:産業動向(2/2 ページ)
JAGフィールドは、建設会社の経営者・人事採用担当者1057人を対象に、インターネット上で、「高年齢者雇用安定法改正による影響と期待」に関する調査を行った。結果、高年齢者雇用安定法について全体の8割が知っていることや約7割が「65歳までの定年引き上げ」を実施していることが明らかになった。
努力義務に応じる理由は「シニア世代の従業員の知識・経験が現場で必要だから」
「努力義務に応じる」と返答した企業に「追加された努力義務に応じた(今後応じる)理由は何か」と複数回答の条件で対象者に質問したところ、「シニア世代の従業員の知識・経験が現場で必要だから」と答えた人は49.6%で最も多かった。次に、「若い世代の従業員が少ないから」は46.8%で、「若い世代の従業員の育成・教育のため」は33.3%となった。
なお、努力義務に応じていない企業に「追加された努力義務に応じていない理由は何か」と対象者に聞いたところ、「若い世代の採用を増やしたいから」と返答した人はで36.7%で最多だった。次に、「人件費を削減したいから」は34.7%で、「事故やケガのリスクを減らしたいから」は34.7%となった。
「今回の法改正は、企業にとってどのようなメリットがあるか」と複数回答可能の条件で対象者に質問したところ、「人手不足を解消できる」と答えた人は41.6%で最も多かった、次に、「安心して業務を任せられる」は35.9%で、「即戦力を確保できる」は32.2%と続いた。
「今回の法改正によって考えられる、企業にとってのデメリットや課題は何か」と対象者に質問したところ、「世代交代が進まない」と答えた人は40.5%で大部分を占めた。次に、「労災事案のリスクが増加する」は30.1%で、「若い世代の雇用枠が減る」は28.3%となった。
「今回の法改正前に65歳以上の方の雇用実績はあるか」と聞いたところ、「ある」と返答した人は61.7%で、「ない」は38.3%だった。今回の法改正によって建設業界に期待していることについては、「労働力の確保ができコストが下がるかもしれない(30代/男性/東京都)」「優秀な職人さんの雇用と、その方によっての後継者育成(30代/女性/愛知県)」「貴重な経験が受け継がれること(40代/男性/千葉県)」「比較的肉体労働でもハードではないうちの特性が生きると思う(50代/男性/東京都)」「腕のいい職人がいれば若い人が成長する(50代/男性/大阪府)」といった意見が寄せられた。
<調査の概要>
調査時期:2021年4月12〜13日
調査対象:建設会社の経営者・人事採用担当者
調査手法:インターネットによるアンケート調査
アンケート回収数:1057人
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