国交省が“都市空間のデジタルツイン”を公開、街を丸ごと属性情報も含む3Dモデルに:コロナ禍でのVR災害訓練など多様なユースケースに対応(2/2 ページ)
国土交通省は、3Dモデルと属性情報を組み合わせ、都市空間をデジタル空間上に再現するデジタルツインデータをWeb上で一般公開した。
災害シミュレーションや都市計画立案に3D都市モデルを活用
属性情報を保持する3D都市モデルは、さまざまなデータの集合体のため、単なる表示だけでなく、さまざまなソリューションとして利活用してこそ、真の価値を発揮する。そのために、Project PLATEAUは、地方公共団体、民間企業、大学・研究機関と連携し、3D都市モデルがどのように社会にインパクトをもたらすものなのか、ユースケース開発の実証実験を行ってきた。
社会的課題の解決として、「都市活動モニタリング」「防災」「まちづくり」の3つのカテゴリーと、3D都市モデルを活用した民間市場の創出として「新サービス」のカテゴリーを設定し、今までの実証実験の結果26件を公式Webサイトで紹介している。
主な実験結果では、都市活動モニタリングで九州工業大学 大学院工学研究院とIoTシステム基盤研究センターはWi-Fiや4G/LTEを用いて測定エリア内の人数を推定する混雑状況モニタリングを開発した他、森ビルは防災の観点で、虎ノ門ヒルズビジネスタワーの緻密な屋内モデルを制作して3D都市モデルと統合した避難訓練シミュレーションを実施している。また、日立製作所、パナソニック、アジア航測は、愛知県名古屋市で1991〜2017年の「建物利用現況」と「土地利用現況」の情報を、3D都市モデルに重ねた都市構造の変遷の可視化を試みている。
森ビルが東京都港区の「虎ノ門ヒルズ」を対象に行った屋内外をシームレスにつなぐ避難訓練シミュレーション。左は築年数で色分けされた建物情報を踏まえ、安全な避難経路をシミュレート。右は2019年9月の総合震災訓練 出典:PLATEAU
Project PLATEAUの今後の方針は、2021年度からVer2.0としてさらなる取り組みの深化を図っていくとしている。具体的には、3D都市モデルの整備・更新・活用のエコシステムの構築とし、3D都市モデルを全国に展開し、スマートシティーといったまちづくりのDX基盤としての役割を果たしていくため、簡易・効率的な整備・更新手法の開発、自動運転やロボット運送などのユースケース拡大、街路空間(歩道・車道)や街路樹・標識など緻密なスケールでのデータ整備手法の確立などを進めていく。
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