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BIM導入のメリットを検証する「大和ハウスグループチームの連携事業」Vol.2BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(14)(4/5 ページ)

2020年に国交省が公募した「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」とは、策定された「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」(2020年3月)に沿って、設計・施工などのプロセスを横断してBIMを活用する建築プロジェクトで、BIM導入の効果検証や課題分析などを試行的に行う施策である。当社は、モデル事業に選ばれなかったが、連携事業として子会社のフジタとともに、設計〜施工〜維持管理で、プロセスを横断してデータを一気通貫での活用に取り組んだ。仮想の建物ではあったが、BIMの活用において、当社のBIMの取り組みを最大限に発揮する絶好の機会となった。今回は前回に続き、大和ハウス工業の連携事業について、設計段階での具体的な手法を解説していく。

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S3段階のデザインレビューについて

 S3では、意匠・構造・設備のモデルをクラウド上で統合し、BIM 360の指摘事項やモデルコーディネーションの機能で、納まりの確認などの意見交換を行った。


デザインレビューを行った統合BIMモデル

 モデルコーディネーションの機能は、自動的に干渉部分を抽出してくれるので、便利な機能だが、チェックする必要が無い多くの干渉部分が抽出されてしまうので、利用に際しては明確なルール作りが肝要となる。


モデルコーディネーション用に統合された基礎と設備モデル

 自動的に抽出された干渉部分をチェックし、問題のある部分に対し、指摘事項を発行し、解決策を求める。回答を受領したうえで、承認を行うことまで、BIM 360の機能で処理を行える。


大梁の配管貫通位置についてのモデルコーディネーションによる指摘事項

 当初は、リンクされた状態で、ワークシェアリングによって、意匠・構造・設備が同時に設計作業を行うことによって、こうした干渉部位はかなり減ると予想していた。しかし、思った以上に干渉部分が発見されたのは、設計作業を行う中で、意図的に干渉部分を調整するといった作業がそれほど行われていかなったからだと考えられる。この連携事業で、これらの問題点も顕在化した。

見積とのデータ連携について

 当社の見積部門でも、3D拾いが進んでおり、基礎と内部仕上げに「NCS/HELIOS(ヘリオス)」、鉄骨に「すけるTON」を用いている。躯体連携については、数のように構造モデルを変換して、基礎のHELIOSと鉄骨のすけるTONにダイレクト連携で数量算出した。その結果、躯体連携で、従来よりも20%作業効率が上がった。


見積部門の躯体連携のイメージ

 仕上げのHELIOSのBIM連携には、かなり前から着手しているが、なかなか目に見えるほどの効率化には至っていない。なお、外構は、Revitのみで数量を算出している。意匠設計が決められたルール通りモデルを作ることが大切だが、連携自体が必要ないので、作業効率は40%アップできた。


Revitによる外構の数量算出

 見積連携に関しては、仕上と設備の数量算出が今後の課題であるが、躯体連携と外構数量算出は既に実務で活用を始めている。

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