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BIM導入のメリットを検証する「大和ハウスグループチームの連携事業」Vol.1BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(13)(4/5 ページ)

2020年に国交省が公募した「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」とは、策定された「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」(2020年3月)に沿って、設計・施工などのプロセスを横断してBIMを活用する建築プロジェクトで、BIM導入の効果検証や課題分析などを試行的に行う施策である。当社は、モデル事業に選ばれなかったが、連携事業として子会社のフジタとともに、設計〜施工〜維持管理で、プロセスを横断してデータを一気通貫での活用に取り組んだ。仮想の建物ではあったが、BIMの活用において、当社のBIMの取り組みを最大限に発揮する絶好の機会となった。今回は、大和ハウス工業の連携事業について、先般開催した報告会の発表よりも、少し詳しい説明を加える。

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プロジェクトの実行組織「作るための連携」と「使うための連携」

 このような方針の下で、実際にプロジェクトを手掛けた実行組織について解説する。この際は、情報管理マネジメント・設計・維持管理を大和ハウス工業が、施工をフジタが担当した。連携では、もの作りにつながる「作るための連携」と、建物運用につながる「使うための連携」に主眼を置いた。

 情報マネジメントチームは、共通データ環境(CDE)と見なすBIM 360の仕組みの構築、管理、運用などを担う。基本的にBIMによる作業は全て、ここで行われるので、プロジェクト全体の管理を受け持つともいえる。共通データ環境の利用が慣れていない段階では、こういった全体を見渡す役割が存在しなければ、理想的なBIM活用は難しい。


連携事業の主な組織と連携の主眼点

 プロジェクトでは私が統括BIMマネジャーを務め、全体で50人以上のメンバーを率いて、プロジェクトを完遂した。あくまでもバーチャルプロジェクトであったが、BIMモデルや図面は、約半年の期間で、全て1から作成した。


連携事業の組織構成と参加人数

 これだけの人数が、テレワーク環境の中で、業務を進めるために毎週TV会議による定例ミーティングを開いた。定例ミーティングは合計24回にも及んだが、これ以外にも必要に応じて各チーム単位で随時、TV会議の場を設けた。TV会議のツールは、Microsoft Teamsを用いた。

プロジェクトの実施期間と実施内容

 連携事業は、最終的に2021年3月初旬に報告書の提出締め切りだったため、2020年7月にスタートさせ、同年12月には完了するというスケジュールを立てた。設計作業自体は通常と同じ作業になるので、期間を短縮することができず、施工期間を1カ月に短縮した工程表を策定した。工事部門を担当していただいたフジタは、1日が10日分の換算という驚異的な日程で、毎日のように施工イベントがあり、とても苦労されたかと思うが、予定通り作業を終わらせてもらった。


連携事業の工程表

 当初は実物件で応募するというアイデアもあったが、どう考えても間に合わないし、新しい取り組みなのに、過去のデータを使って考察するということも、意味がないというと結論に至り、できるだけ実践的な案件を仮想で行うこととした。

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