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BIM導入のメリットを検証する「大和ハウスグループチームの連携事業」Vol.1BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(13)(2/5 ページ)

2020年に国交省が公募した「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」とは、策定された「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」(2020年3月)に沿って、設計・施工などのプロセスを横断してBIMを活用する建築プロジェクトで、BIM導入の効果検証や課題分析などを試行的に行う施策である。当社は、モデル事業に選ばれなかったが、連携事業として子会社のフジタとともに、設計〜施工〜維持管理で、プロセスを横断してデータを一気通貫での活用に取り組んだ。仮想の建物ではあったが、BIMの活用において、当社のBIMの取り組みを最大限に発揮する絶好の機会となった。今回は、大和ハウス工業の連携事業について、先般開催した報告会の発表よりも、少し詳しい説明を加える。

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標準ワークフローとISOへの対応

 BIMガイドラインの「第2章 BIMの標準ワークフローについて」の中で、それぞれの段階で、何をなすべきかが記されている。基本的には、[契約内容]→[実施内容]という説明がなされており、パターン5については、p57〜69に記載されている。随所にメリットが提示されており、この契約・実施によって、どのような効果を引き出せるかという期待が示されている。

 当社では、ガイドラインのパターン5に記されている契約内容と実施内容を記載の順に番号を付け、この番号を我々の取り組みに照らし合わせ、BIMガイドラインのどこに該当するかを明確にした。


BIMガイドラインと契約・実施の関係

 上図の上段がBIMガイドラインからの引用の例で、中段がそれをまとめたもの、下段が今回のプロジェクトにおける各社の取り組みとBIMガイドラインとの関係を表している。

 また、これらの関係と、ISO19650-2の情報マネジメントプロセスに合わせるために、発注者の意思決定ポイントとして、6つのポイントを設定し、それぞれの段階で、設計・施工者側からの情報の提供と、発注者の意思決定を促す仕組みも考慮した。


BIMガイドラインとISO19650の意思決定ポイントとの関係

 この考え方によって、建設BIM推進会議のBIMガイドラインは、ISO19650-2の情報マネジメントと整合性を図れる可能性があることが分かった。発注者の意思決定ポイントに合わせて、EIR(情報交換要求事項)とBEP(BIM実行計画書)が作成される流れを作った※2

※2 BIMガイドラインでは、EIRをBIM発注者情報要件(Employer’s Information Requirements)と規定しているが、我々はISO19650の定義にあるEIR(情報交換要求事項 Exchange Information Requirements)と考えた

 こうえした考え方をISO19650-2で表すと下図のようになる。基本的に、現状の作業でも、発注者の意思決定をもとに、設計・施工の作業が進むので、通常の業務に落とし込んでもとくに問題はないと感じた。ただし、それぞれの意思決定ポイントで、提出する情報の内容やその検証・妥当性の確認・意思決定といった内容を細かく規定しているのがISOなので、それらを用意し、運用することで、ISOに準ずることは自ずとできるだろう。


意思決定ポイントをサポートするための情報の流れ

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