パナソニックらが舞台を見やすい劇場の建設を支援する評価手法を開発:パナソニックが考える「2020以降の街づくり」(1/2 ページ)
パナソニックは、ラムサと東京都市大学 教授 勝又英明氏とともに、劇場建設の企画構想から改修までで、舞台の視認性を確かめるのに役立つ評価手法「View-esT」を開発した。
パナソニックは2021年1月18日、「劇場・観覧施設の最適な計画運用を支援する新たな設計評価手法(View-esT)の開発とVR技術活用技術」と題したセミナーをオンラインで開催した。
会場では、パナソニック ライフソリューションズ(LS)社 ライティング事業部 エンジニアリングセンター 専門市場エンジニアリング部 調光システムEC 所長 松尾浩氏やラムサ 代表取締役 西豊彦氏、東京都市大学 建築都市デザイン学部 建築学科 教授 勝又英明氏が、劇場・観覧施設などの評価手法「View-esT」について紹介した。
色で舞台が見にくい座席を見える化
パナソニック LS社の松尾氏は、「近年、国内の劇場とホールでは、特定の座席で、前方に着席した人や手すりなどで、舞台が見にくいケースが増えている。舞台の視認性が低い劇場は、イベントに対する顧客満足度を下げ、主催者から低く評価されてしまう。そこで、パナソニックは、ラムサと東京都市大学の勝又氏と協力し、舞台が見にくい劇場とホールの改修で役立つ評価手法のView-esTを開発した」と説明した。
View-esTは、劇場建設の企画構想から改修までで、舞台の視認性など重要な要素の検討や判断、共有に役立つ。具体的には、「見え方総合評価プログラム」「一体感および親密性の計測、数値化、評価プログラム」「照明配置評価プログラム」「劇場など計画支援VRシステム」で構成されており、各プログラムとシステムで舞台が見やすい劇場の設計をサポートする。
見え方総合評価プログラムは、それぞれの座席で舞台上の1点が観客の頭越しで見えるかを評価する従来のサイトライン設計法と比べて、作業時間が短く、各座席における舞台の見え方を総合的に評価できる。
ラムサの西氏は、「見え方総合評価プログラムは、専用のフォーマットに建物の形状や条件などの設計情報を入力することで、各座席における舞台の見え方を数値化し、色でも表示する。例えば、赤で表示された座席は最も舞台が見にくく、紫で表示された座席は最も舞台の視認性が高い。目線の高さや舞台と座席の距離、舞台の位置などを踏まえた評価も数値化するため、既存施設の評価や客席の格付けにも使える」と解説した。
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