ボード材の“墨付けを不要”にする加工機一体システムをアクティオが開発:製品動向
アクティオは、内装仕上げ材の施工で、専用アプリから直接寸法値を入力することにより、墨付け作業が不要となる加工機一体形のシステムを開発した。
総合建機レンタルのアクティオは2020年11月、竹中工務店、爽美、カナモト、朝日機材、AvalonTechと共同で、建築内装仕上げ材(ボード材)の加工アシスト機「iBow」を開発した。
高精度「たわみ補正プログラム」と、新開発の切削刃で高品質な加工を実現
従来、ボード貼り作業は、熟練の作業員が寸法実測から、ボードへの墨付け、手作業によるボード加工裁断、貼り付け作業を2人1組で行っていた。
新開発の加工機iBowは、専用のスマートフォンアプリから寸法を入力することで、面倒なボードへの墨付け作業を省き、ボードの加工裁断を容易にした。次のボードの寸法データを送信しておけば、加工されたボードを貼り付けている間に、iBowがボードの加工を自動で行うため、大幅な施工時間の短縮につながる。
また、通常、山積みされたボード材をそのまま上部から順次加工していくと、本体フレームのたわみやボード材自体のたわみにより、その下の新品のボードに傷が付くことがある。その点、iBowは、本体アルミフレームのたわみ量補正に加え、基準点とその他の測定点20カ所を事前にダイヤルゲージで計測し、ボード材のたわみを演算して補正することで、傷を付けない連続加工を可能にしている。さらにiBowには、切断と同時に面取り加工を行う新型の切削刃も搭載し、ヤスリ掛けをする必要も無い。
専用アプリは、縦横の切断だけではなく、さまざまな形状での加工に応じ、操作面でも作業者目線を重視したユーザーインタフェースを採用。現在は、Android 6以降のOS上での動作のみだが、2021年6月以降にはiOSへの対応も予定されている。
iBow本体の重さは、80キロとコンパクトで、商用バンなどへ積載して作業場所へ持ち運べる。サイズは、1900(幅)×1200(高さ)×1100(奥行き)ミリ。
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