ドローンを多産業で運用するために必要なガイドラインとは?UAV関連3団体が最新動向を報告:Japan Drone2020(3/3 ページ)
Japan Drone2020の特別講演で、福島ロボットテストフィールドで進められているプラント点検・警備・国際イベントでの運用ガイドラインについて、ドローン業界団体3団体が最新動向の詳細を報告した。
機体に関する機体認定と安全性などの検証
JUAVは、機体の安全認証について報告した。JUVAは、日本で初めての作業用無人航空機の業界団体として、2004年に無人航空機協会として発足。その後、2017年に一般社団法人化し、急成長を遂げていた小型マルチローター機の安全基準を策定する形で事業対象を拡大している。
JUAV 理事の和田昭久氏は、JUAVが独自に定める5項目の安全基準(設計/保守点検/操縦者/運用/顧客管理)のうち、今回実施された設計に関する検証と機体認定の作業を解説した。
今回の審査対象は、マルチローター型の小型回転翼無人機で、日中の目視内飛行高度を150メートル未満と定めている。審査員や申請者の他、安全のための監視員などが加わった10人を超える人員での審査で、和田氏はどのような手順を踏むのか、作業概要をステップとともに説いた。
機体認定の審査では、当然ながら実際に機体を飛ばさなくてはならない。当然、人がいない広いスペースが必須で、安全確保は重要な要件となる。しかし、広大なスペースを有する福島RTFでは、試験スペースに関しての支障は無い。
とくに福島RTFでの試験では、付属施設にある気象観測装置を使うことで、テスト機の飛行時に上空でどんな風が吹いているのかが、ほぼリアルタイムで把握できるのが利点となっている。
風の状態は、機体の飛行性能や安全性に多大な影響を与える。和田氏は、上空風の状態を含めて正確な気象情報を得られる福島RTFが、JUAVの審査作業に大きく役立ったこと、試験・審査の環境として非常に有益な施設となっていることを強調した。
講演最後には、JUIDAの鈴木氏が今回紹介したガイドラインに関する詳細は、福島RTFのWebサイトで閲覧できることを示し、本セッションは終了となった。
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