寄付金・水・電力・医療の包括的な災害支援、「平時にも使える」強みで自治体のレジリエンスを強化:災害支援のデジタル化(2/3 ページ)
ふるさと納税のWebサービスを自治体に提供しているトラストバンクは、この仕組みを災害時の寄付金募集にも応用し、水資源、緊急医療、エネルギーのサービスも追加して、災害支援を包括的にカバーする新規事業を開始した。全てのサービスが非常時だけでなく、日常でも使えることが特長で、いざというときに自治体担当者がイチからオペレーションを学ぶ必要が無く、即時に対応できるのが他に無い強みとなっている。
災害対策本部にあらゆる情報を集約、意思決定を迅速化
2019年1月には、自治体の業務を効率化するべく、“Public×Technology”を掲げたパブリテック事業もスタート。新規事業を始めた理由について須永氏は、「地方自治体では、人手が圧倒的に不足しており、1人4役や5役を担っていることも少なくない。今後も財政状況や人口減が続くことを考えると、人員を増やすこともままならない」とし、業務の中でもアナログな電話や紙による情報共有や非効率な会議をでデジタル化で改善するため、「ビジネスチャットツール『LOGOチャット』の導入提案を2019年11月から自治体へ始めた」と説明する。
LOGOチャットは、2020年8月時点で全国445の自治体で採用され、25万アカウント以上で運用されている。とくにここ最近、新型コロナウイルスの影響で、非接触や非対面のニーズが高まっているため、今まで以上に利用者は増加している。
トラストバンクでは、LOGOチャットも、ふるさとチョイス同様に、平時にコミュニケーションツールとして使用しながら災害時にも有効なサービスと訴求している。非常時には、自治体が設置する災害対策本部を中心に、避難所や消防署、病院、水防班がネットワークでつながり、避難者情報の共有や現場の被災状況、巡回パトロールの報告など、あらゆる情報が対策本部に集約され、的確な意思決定が行えるようになる。
水資源、緊急医療、エネルギーを含め災害支援をパッケージ化
今回、発表したトラストバンク レジリエンス パッケージは、既存のふるさとチョイス 災害支援とLOGOチャットに、水資源、緊急医療、エネルギーの災害支援サービスを追加。災害時の情報、モノ、ヒト、おカネのそれぞれで、「自立した持続可能な地域をつくる」ことを目指し、包括的に自治体をバックアップすることを目的としている。水資源、緊急医療、エネルギーの災害支援サービスについては、代表取締役 川村憲一氏が概要を説明した。
水資源に関しては、2018年7月の豪雨被害に伴い、岡山県倉敷市に開設されたボランティアセンターで、温水シャワーを設置した例を拡張する形で、WOTA製の屋外シャワーキット「WOTA BOX」を提供する。WOTA BOXは最先端のAI水処理機能を備えており、1度シャワーで使用した水でも98%以上を再利用できる。WOTA BOXの価格は、1基あたり498万円(税別)。
「被災地でのシャワー提供は、自衛隊も行っているが、安全・安心な水をいち早く被災者に届けることが重要。現在のコロナ禍で被災した場合は、(感染症を防ぐ)手洗いも困難な状況に陥りかねない。WOTA BOXは持ち運べる仕様のため、どこにでも設置することができ、通常時には高額な水道敷設をしなくても、水道設備が未整備の場所でのイベント開催などにも使える」(川村氏)。
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