3時間でトンネル内の全面内壁画像を撮影できる「TM-270」:メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2020
倉敷紡績は、都市型地下鉄のトンネルを対象にした点検システム「TM-270」を開発した。TM-270は、組み立て式で、撮像方法がシンプルなため、トンネル内壁の全面撮影が3時間で完了する。現在、国内や海外にある都市型地下鉄トンネルの点検で試験運用を進めている。
倉敷紡績(KURABO)は、メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)をテーマに掲げる総合展示会「メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2020」(2020年7月29〜31日、インテックス大阪)内の「インフラ検査・維持管理展2020」で、鉄道トンネル検査システム「TM-270」をアピールした。
組み立て時間は30分
TM-270は、電車の運行スケジュールがタイトなため、短い作業時間で点検を進めなくてはならない都市型地下鉄のトンネルを対象にした点検装置で、業務時間が夜中の3時間のみといった厳しい条件下でも、高解像度で全面内壁画像を迅速に撮影できる。
システムは、撮像デバイスや照明装置、操作ディスプレイ、PCユニット、光源、エンコーダーから成り、駅などの現場で、作業員が1〜2人いれば組み立てられ、所要時間は30分で済む。
撮像は、PCユニットにダウンロードされている専用撮像ソフトで、ワンクリック操作で行え、単線や複線、馬蹄(ばてい)型、円型などさまざまな形のトンネル撮影に応じている。専用の画像編集ソフトでは、撮影した写真にトンネルの形状数値を入力すれば、自動で履工画像も作れる。
また、解析ソフトで、履行画像からひび割れを自動抽出するとともに、漏水箇所などの損傷部を見える化することで、損傷図も作成でき、設備点検にも生かせる。
TM-270の作業手順は、まず事前にカメラを調整した後、現場でシステムを構成する治具を組み立て、手押しもしくは駆動の台車に乗せて、トンネル内の全面内壁画像を撮る。その後、事務所のPCにインストールした専用の画像編集ソフトと解析ソフトで、取得した画像を基に履工画像の自動生成や損傷図作成などを行う。
撮像デバイスは高精細カラーラインカメラで、トンネルの形状に合わせて最大8台まで搭載できる。撮像方式はトリガー撮影で、撮像速度は徒歩のスピードにあたる時速20キロ。横断方向と進行方向の解像度はともに1ミリあたり1ピクセル。
照明装置はLED照明で、システム全体の消費電力が最大1.7キロワット。撮影可能なトンネルは最大約7.5メートルの高さまで。
倉敷紡績の担当者は、「現在、国内外を問わず、都市型地下鉄トンネル内の点検作業で実証試験や試験運用を進めている」と説明した。
総力特集:
メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)に焦点を絞った建設総合展「メンテナンス・レジリエンスOSAKA 2020」が2020年7月29日、インテックス大阪で開幕する。
コロナ禍の中で、ひさびさとなる建設展の開催となった本展では、インフラ検査・維持管理をはじめ、建設資材、防災・減災、i-Construction、労働安全衛生など、最先端の資機材やサービスが一堂に会する。特集ページでは、会場でのブース取材やセミナーレポートで、インフラの最新テクノロジーや市場動向を紹介する。
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