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【第7回】「迷走する設備BIMの後れを取り戻せ!」(後編)BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(7)(3/5 ページ)

日本での設備BIMがなかなか進んでゆかない。これは大和ハウス工業も例外ではない。しかし、日本の設備業務は、意匠・構造とは異なる“特殊性”があり、これがBIMに移行しにくい原因とされている。しかし、BIMに移行するためには、設備のBIM化を避けて通ることはできない。どう乗り越えてゆくかが重要な鍵になる。そこで、設備BIMが置かれている現状の課題を分析した上で、設備BIMのあるべき姿を示し、設備がBIMに移行するために何をしなければならないかを、同社技術本部 建設デジタル推進部 次長・伊藤久晴氏が前後編の2回にわたり詳説する。

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現時点で最も理想的なRevit MEP

 設備BIMに必要な3つのものを実現できる設備BIMソフトとして、現時点で最も理想的なのは「Revit MEP」だ。Revit は、先にモデルを作り、その後で図面を作るという仕組み。また、意匠・構造と同じソフトを使うことで、IFCなど中間ファイルを使った変換がないので、縦連携・横連携が実現しやすい。

 当社の設計外注業者でも、意匠・構造だけでなく、同じRevitであるなら、設備にも採り入れようとしている企業が出始めている。設計外注業者としても、意匠・構造・設備を共に請け負うことで、変更情報の共有、モデル・ファミリの共有などのメリットが表れてくる。

 2018年に、当社は意匠・構造・設備ともRevitを使って、建築確認申請を行った。これは日本初の試みであった。ここで、筆者が最も感動したのは、同じRevitで作られたモデルのため、データを直接開いて確認することができたことだ。これまで、設備CADという専門的なソフトで、特殊な図面表現をされていた設備の設計情報が、意匠・構造と同じソフトになることで、設備以外の部門担当者にとってずっと理解しやすくなる。意匠・構造・設備ソフトの共通化は、言語の壁を無くすことと同じくらい、計り知れない価値がある。


Revitで確認申請を行った設備モデル

 Revit MEPを実務活用する上で、系統図など従来の設備図の表現が難しいとされるが、それらも次第に解消されてきているし、設備のファミリ(部品)の整備不足や対応するサブコンが少ないといった課題についても、RUG(Revit User Group)などの活動によって、徐々に日本でも解消されている。

 逆に、意匠が配置した衛生器具などを設備でも連携して使うことや構造が配置した構造躯体で直接スリーブ位置を検定できること、Dynamoなどのツールによって、自動配管などの機能を作る可能性があることを考えると、全社BIMを展開しようとする企業なら、Revit MEPが最も理想的なソフトとなるだろう。

BIM 360によるCDE(共通データ環境)の構築でのRevit MEPの優位性

 RevitがBIMで理想的だとする2つ目の理由は、「CDE(共通データ環境)」である。設計〜施工〜維持管理といったワークフローの中で、BIMによる情報の受け渡しの在り方が重要だと述べたが、これが「ISO19650」でも示されている。筆者は、その中で「CDE(共通データ環境)」という仕組みがキーだと見ている。


CDE(共通データ環境)の概念 出典:ISO19650

 CDE(共通データ環境)では、上図のように設計作業を共同で行い、モデルや設計図書・資料を共有し、承認行為などといった作業をルール化して、ワークフローの中で実践できる仕組みを作らねばならない。当社は、CDEを実践する仕組みがAutodeskの「BIM 360」で置き換えられると定め、導入を進めている。

 BIM 360のうち、「BIM 360 Docs」は、クラウド上のデータでデータの確認・チェック・受け渡しなどの機能を有する。Revitのデータであれば、BIMモデルに含まれている図面がRevitを使うことなくBIM 360上で確認することもできる。


確認申請で活用したBIM 360とRevitのデータの中にある設計図書

 意匠・構造では、BIM 360を使ってコラボレーションで設計作用を行っている。コラボレーションというのは、ワークシェアリングとも言い、クラウド上で、複数の担当者が同時に一つのプロジェクトを共有し、意匠と構造がリンクした状態で、設計作業を進められる。常に統合されている状態で設計が進むので、不整合がそもそも出にくい。設備が、Revitを使ってくれれば、意匠・構造の最新モデルがリンクされた状態で、同時に設計作業を進めるので、意匠・構造のBIMモデルを考慮して、設備の配管や機器の設置が可能になる。

Special Feature:

「サイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」詳説

 本連載は、経済産業省によって、2017年12月に立ち上げられた「産業サイバーセキュリティ研究会」のワーキンググループのもとで策定され、2019年6月にVer.1.0として公開された「ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」について、その背景や使い方など、実際に活用する際に必要となることを数回にわたって解説する。

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