コロナ禍で浮き彫りとなった工務店のリスク、従業員とビジネスを守るには?:A-Styleフォーラム 2020(2/3 ページ)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、工務店やビルダーでも、部材の納品遅延などによる施主からの契約打ち切りなど、今までに無い突発的なトラブルに巻き込まれる例が増えてきているという。匠総合法律事務所 秋野卓生氏は、住宅事業者向けオンラインセミナーで、コロナ禍にあって、事業を継続し、従業員を守るために、クレーム対応や契約解除などにどう対処すべきか、法律的な視点からの知見をレクチャーした。
コロナ禍による建設業でのトラブルとは?
新型コロナウイルス感染症の拡大に際しては、建築業界でも多数のトラブルが発生した。その1つとして契約解除があり、まだ感染が広がっていなかった2019年12月や2020年1月に、住宅建築の請負契約を締結し、感染拡大が進んだ3月や4月には顧客側から、契約を一方的に打ち切られるというものだった。契約締結の時点では新型コロナウイルスをさほど意識していなかったが、深刻な状況が続くに連れ、施主の不安感が募ったことが理由のようだ。
契約トラブルに関連して、キッチンなどのリフォーム工事で、中国から設備機器が納品されない事態も表面化した。部材が納められないので、現場が止まり、それが施主側の不安や不満を増大させることにもなり、契約解除の申し出につながった。
中国での納品遅延は、工務店と施主の信頼関係を壊すことにさえ、なり兼ねない。工務店側でも、発注後にこれだけ納品されない状況を想像していなかった。そのため、施主に説明するのにも遅れが生じた。事態が悪化してから、施主に納品遅れを報告したが、「どうしてもっと早く言ってくれなかったのか」と、施主の怒りを買い、また「家1軒分の資材すらも調達できない工務店は、力不足で信頼できない」と告げられるケースもあったという。
契約解除は施主にとっても不利になりかねない
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