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限られたデータから正確な水位予測、数理工学をベースにした水害対策ソリューション第24回「震災対策技術展」横浜(1/2 ページ)

構造計画研究所は、以前から構造物のシミュレーションを得意としている。ここ数年は、このシミュレーション技術を災害対策に応用している他、非常時に通信環境が切断された状態でも、情報の配信や収集を可能とする通信連携の開発も進めている。

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 構造計画研究所は、第24回「震災対策技術展」横浜(会期:2020年2月6〜7日、パシフィコ横浜)で、シミュレーション技術を応用した建物被害や洪水などの予測ソリューションを中心にブースを展開した。

シミュレーション技術を防災に生かした新サービスを展示

 構造計画研究所では、長年培ってきた解析技術を自然災害への対応に適用して、暴風雨がもたらす土砂災害や高潮のリスク評価、構造物へ飛来物が衝突した際の被害予測など、年々巨大化する台風に関連した予測ソリューションの検証を進めている。

 なかでも、河川が氾濫(はんらん)する危険性をリアルタイムで予測するソリューションの開発には、とくに力を入れている。


構造計画研究所のブース

 展示品を説明した構造計画研究所 エンジニアリング営業部 西條裕介氏は、「同様のソリューションは他社にもあるが、当社のシステムはベースとなる情報が少なくても予測できるのが他には無い特長だ」とPR。このソリューションでは、基本的には気象庁が発表する降水量のメッシュデータと、水位計測データの2種類だけがあれば、数時間後の河川水位を予測することが可能だ。


構造計画研究所 エンジニアリング営業部 西條裕介氏

 通常、このようなソリューションでは、AIを使うケースが多い。しかし、構造計画研究所では、“数理工学”を利用した手法を採っている。その際は、AIの統計的なアプローチとは異なり、物理現象や力学的な成り立ちでデータが生成されていることが前提となる。こうしたデータは、数学的な解析にかけると、予測したいデータの解の軌道が描けるのだという。

 仮に同様の予測をAIの機械学習だけで処理しようとすると、学習で利用するデータ群の中に、今までに無い値が交じっているときは、期待する精度が出ない。


台風19号のリアルタイム予測

 昨今、日本を襲う台風は巨大化している傾向にある。そのため、発表されるデータにも、過去経験した範ちゅうを超えるデータが混じってしまう。そこをAIで処理すると、見当はずれの予測値が出力されることがある。

 巨大化する台風にも対応するリアルタイム洪水予測システムは、「RiverCast(リバーキャスト)」のサービス名称で、既に大手ゼネコンや遊水池の管理施設、自治体などで運用されている。


リアルタイム洪水予測システム「RiverCast(リバーキャスト)」

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