【BAS徹底解剖】BEMSのクラウド化〜現在から将来に向けた対応〜:アズビルが解き明かす「BAS」解体新書!(2)(1/2 ページ)
建物には、空調、照明、監視カメラなど、さまざまな設備機器が導入されている。それらを効果的に運用するシステムとしてビルディングオートメーションシステム(Building Automation System、BAS)が存在する。本連載では、制御・計測機器メーカーで各種ビル設備サービスを展開するアズビルが、「建物の頭脳」ともいえるBASやシステムを活用したエネルギー管理システム「BEMS」を紹介し、今後の可能性についても解説する。第3回目は、BEMSのクラウド化について紹介していく。
本連載の第1回では、BASを中心にBEMSも含めたビルシステムの全体像を紹介しました。第2回の本稿では、BEMSのクラウド化について解説していきます。
クラウド型BEMSの普及
BEMSのクラウド化は、2012年に経済産業省のエネルギー管理システム導入促進事業費補助金(BEMS導入事業)によって普及し始めました。本事業では、主に中小規模のビルをターゲットとして遠隔管理による電力の見える化や節電の実施が求められ、ICT(Information and Communication Technology)事業者の参入が進みました。この流れは、エネルギー使用合理化等事業者支援補助金に受け継がれ、電力のみならず建物全体のエネルギー管理という観点に拡大され、近年では、IoT(Internet of Things)の潮流も合わさり、クラウド型のBEMSが急速に浸透しています。
BEMSに限った話しではありませんが、2018年6月に政府は、「政府情報システムにおけるクラウド サービスの利用に係る基本方針」を公開し、情報システムを整備する際に、クラウドサービスの利用を第1候補として考えるという政策(クラウド・バイ・デフォルト)を進めています。
「近年、急速に進化し発展したクラウドサービスは、正しい選択を行えば、コスト削減に加えて、情報システムの迅速な整備、柔軟なリソースの増減、自動化された運用による高度な信頼性、災害対策、テレワーク環境の実現等に寄与する可能性が大きく、政府情報システムにおいても、クラウドサービスを利用することでさまざまな課題が解決されることが期待される」(政府情報システムにおけるクラウド サービスの利用に係る基本方針より引用、2018年6月7日公表)。
基本方針の中では、クラウドサービスの利用によるメリットとして、以下の5点を挙げています。
・効率性の向上
・セキュリティ水準の向上
・技術革新対応力の向上
・柔軟性の向上
・可用性の向上
サービス提供の仕組み
従来のオンプレミス(現地設置)型の専用システムに代わって、広がっているクラウド型BEMSの一般的な構成を示します。
建物に設置されたBASとクラウドサービス事業者のクラウドがGW(ゲートウェイ)を介してネットワーク接続されます。クラウド上では、BASデータの収集、蓄積、加工が行われます。ユーザーは、Webブラウザでインターネットを介してクラウドにアクセスし、クラウドサービス事業者が提供するエネルギー管理などの機能をサービスとして利用できます。
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