SNSの書き込みから被害状況を収集、「ソーシャル防災」を支援する解析テクノロジー:第24回「震災対策技術展」横浜(2/2 ページ)
昨今は、SNSの浸透とともに、社会に発生するさまざまな事象の情報が、スマホに代表されるモバイルツールから日々投稿されている。JX通信社は、Twitter上を流れるツイートから、災害・事故・事件などに関する情報を得るシステム「FASTALEAT」を開発した。既に放送局や通信社などのメディアで多数採用されており、その有用性は高く評価されている。
クローズドのSNSはデマ情報に惑わされやすい
現在のところ、FASTALEATがデータのソースとして採用しているのはTwitterのみとなっている。SNSには、ツイッターに代表されるオープンなサービスと、Facebookに代表されるクローズドなサービスがある。しかし、両者では情報の質が大きく異なる。
高橋氏は「クローズドなサービスは、デマに惑わされやすい」とする。その点、誰でも見られるオープンなサービスは、フェイクの情報が投稿されると誰かしらかが指摘する。FASTALEATでは、誤りの指摘がある情報に対しては、スコアを下げて配信することで、情報の信頼性を担保している。
FacebookやInstagramを情報源にしないのは、規約の兼ね合いでFASTALEATでは情報を扱えないからという理由がある。しかし、高橋氏は、災害や事故などの情報をこれらのSNSだけに投稿する人はほとんどいないとして、「とくに災害や事故といった情報は、Twitterに投稿されやすく、FacebookやInstagramに投稿された情報がTwitterで発見されなかったことはない」と強調する。
FASTALEATの方向性としては、「ユーザーが取捨選択できる状態を作り上げたい。利用者が本当に必要とする情報を取り漏らさないようにすることを目指している」と説明した。
展示ブースでは、FASTALEATの機能と有用性をPRするデモが行われた他、高橋氏は別会場でFASTALEATをテーマにした講演を行い、来場者の注目を集めた。
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