既存の車止めにセンサーを設置した水害監視、応用地質ら3社が福知山で実証:災害対策
サンポール、ユアサ商事、応用地質は、身近な社会インフラを活用した防災モニタリング製品を開発した。
サンポール、ユアサ商事、応用地質は、冠水状況をモニタリングする目的で、冠水センサー付きボラード(車止め)を共同開発し、京都府福知山市内で2020年3月から1年間、実証試験を開始したと明らかにした。
既存の車止めポールに冠水センサーを設置し、モニタリング
国や自治体は近年、水害の危険を及ぼす河川の監視対象を大規模河川から中小河川へと拡大すると表明しているが、現実には監視体制の普及には、相当の時間がかかることが予想される。とくに、都市部の水路や用排水路、下水管路など、内水氾濫や道路冠水の発生源となる身近な危険箇所は、モニタリングの環境整備が遅れている。
このような状況にあって、サンポール、ユアサ商事、応用地質の3社は、社会インフラとして定着しているボラード(車止め)を活用し、身近な危険箇所の冠水状況を迅速に検知することを発案。冠水センサー付きボラード(車止め)として新開発した。
冠水センサー付きボラードのメリットは、現状で街中に多数設置されている車止めに、冠水センサーの機能を加えることで、広域かつ緻密な冠水監視ネットワークをスピーディに構築できることがある。冠水状況を早期に検知し、初動対応のリードタイムを確保することで、浸水対策や安全な避難、施設の利用規制などの措置が迅速化されると期待されている。
実証試験は、2018年7月豪雨によって、広い市域で冠水し、745棟の住家が浸水するなどの被害を受けた京都府福知山市の協力のもと、同市字堀地内で冠水センサー付きボラードを設置し、2020年3月から2021年3月までの約1年間行う。実験では、冠水検知時の情報通知や維持管理などのオペレーションを検証する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 応用地質がレーダー探査した「地下埋設物」を日立のAIで判定、占用者や施工者にクラウドから提供
日立は2025年度までに、社会インフラ保守関係事業で1000億円の売上目標を掲げており、その一環として、同社のAIと応用地質の地中探査技術を融合させて、「地下埋設物」を3Dマップ化し、クラウドを介して第三者に提供する新規事業を2020年から開始する。 - 応用地質がみずほ情報総研の支援で、AIを活用した「3次元地盤モデル」と「災害危険箇所抽出モデル」の開発に着手
応用地質とみずほ情報総研は、「地質分野におけるAI(人工知能)活用に関する」アドバイザリー契約を締結した。新たなビジネスの創出も視野に、両社は共同でAIを主軸とするテクノロジーで、地盤関連の解析技術などの開発を急ぐ。従前からテクノロジーによる事業戦略を推し進めてきた応用地質は、強力なバックアップを得て、“AI”領域に注力する。 - 応用地質が「都市部の地盤」を3Dモデル化するソフト発売
応用地質は、比較的単純な地盤や緩やかな地質構造を3次元モデル化するソフトウェア「OCTAS Modeler」を開発した。都市部の地盤をBIM/CIMで利活用するため、3次元モデル化する手軽なツールとしての普及を目指す。 - トンネルなど打音点検の結果をAI判定、応用地質