大成建設が「ARES Touch」をカスタマイズ、27秒で立ち上げからクラウドストレージ接続までを実現:Graebert Japan Annual Meeting 2020(1/2 ページ)
大成建設はタブレットとスマホ上でDWG互換CADに、施工現場から写真の添付やコメント、マークアップなどが行えるクラウド「ARES Touch」をカスタマイズし、作業性を高めている。
ドイツに本社を構えるGraebertは2020年3月5日、東京都千代田区の富士ソフトアキバプラザで、プライベートイベント「Graebert Japan Annual Meeting 2020」を開催した。
当日のセッションのうち、大成建設 社長企画室 情報企画部コンサルティング室 中田未知花氏と大成情報システム 辻征氏が行った講演「大成建設向けARES Touchの機能紹介」をレポートする。講演では、タブレットとスマホ上でDWG互換CADに、施工現場から写真の添付やコメント、マークアップなどが行えるクラウド「ARES Touch」の利便性を高めるため、カスタマイズした事例を紹介した。
Office 365のアカウントでARES Touchにログインが行えるようカスタマイズ
まず、中田氏が、ARES Touchの導入経緯について触れた。「建設現場では、図面を頻繁に確認するため携帯することが必須となるが、紙製図面の場合、印刷に手間がかかるとともに、雨でぬれたり、破れたりと持ち運びの負担が大きかった。iPadでCAD図面をダウンロードして閲覧するのは容易だったが、セキュリティ上問題があったため、ARES Touchを導入した」。
大成建設は、ARES Touchの利便性を高めるために、アプリの配信とデータ制御をサポートする管理ソリューション「MDM(Mobile Device Management)/MAM(Mobile Application Management)」の搭載や大成建設がデータの保存で常用するMicrosoft 製クラウドストレージサービス「OneDrive for Business」との統合、他のクラウドストレージとの接続制御、Graebertアカウントの代わりにシングルサインオン(SSO)でユーザー認証可能な仕様の構築を進めた。
中田氏は、「MDMは利用者が端末を紛失した際に、Web上で情報を削除することと、格納した情報を配信することができる。MAMはクラウド外へのデータ持ち出しなどを制限する。OneDrive for Businessは、大成建設で普段からデータの保存に用いているが、ARES Touchとの接続に対応していなかったため、接続が行えるようにGraebertやMicrosoft と話し合いを重ねた。また、OneDrive for Business以外に、データのインプットやアウトプットが進められないように仕様変更した」と説明した。
続けて、「SSOは、通常会社が、クラウドサービスを利用する際に、パスワードを複数覚える手間を減らすもので、大成建設全社員が持っているMicrosoft 製クラウド“Office 365”のアカウントを使い、ARES Touchにログインできるようにカスタマイズした。他のクラウドで作成したアカウントを用いて、さまざまなクラウドにログインする取り組みで、元となるアカウントを提供する会社はOAuthサービスプロバイダーと呼ばれる」と話す。
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