FMに携わる人全員をハッピーにする“人フォーカス時代のFM”とは?:ファシリティマネジメント フォーラム 2020(1/2 ページ)
住友セメントシステム開発は、施設の設備や修繕履歴といったFMに関するデータをデジタル化して一元管理する研究を進めている。FMに関する情報が1箇所に集約されれば、管理者だけでなく、オーナーやPMにとってもコストを抑えた修繕計画の立案などに役立てられると期待されている。その先にはBIMとの連携も視野に入れ、BIMモデル上で建築や設備などの各種情報が集約されることで、建物のライフサイクル全体を見渡したFM戦略が立てられると提言する。
住友セメントシステム開発は、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)が主催する「ファシリティマネジメント フォーラム 2020」(2020年2月19〜21日、タワーホール船堀)で、「オーナーと現場をハッピーに!」と題する講演を行った。
演台に立ったFMソリューション部の柳良和氏は、ファシリティマネジメント(FM)に携わる人がハッピーになるため、必要な要素をFMの階層別に解説し、実現にはICT活用が有効とし、デジタルテクノロジーを採り入れたFM関連データの一元管理を説いた。
FMに関わる人の“ハッピー”は、FM情報のデジタル化による一元管理から始まる
住友セメントシステム開発は、住友大阪セメントの情報システム子会社として事業を展開。登壇した柳氏が所属するFMソリューション部は、FMのデジタル化をICTで支援し、FMの価値を向上させる役割を担っている。
講演では、施設のオーナーと施設を管理する現場スタッフが互いに幸せになるため、どのようなFMを目指すべきか実例を交えて紹介した。
一口に「FM」といっても、その捉え方はそれぞれの立場によって差がある。柳氏は、FMを「日常業務的FM」「管理的FM」「経営的FM」の3階層に分け、各階層では活動する内容や求める方向性の違いがあることを示した。
提示された階層のうち一番下層となる「日常業務的FM」は、実務としての施設管理や運営維持におけるFMが中心となる。これに対して一番上の「経営的FM」は、戦略や計画にフォーカスした統括的な行動が求められる。当然ながら、3つの階層では部署や担当者が異なり、独自の視点を持っている。
柳氏は、施設オーナーやPM(プロパティマネジメント/オーナー代行)から現場の管理スタッフまでの全員がハッピーになるための考え方や方向性を“人フォーカス時代のFM”というキーワードと定義した。
人フォーカス時代のFMでの理想的な状態は、階層ごとに示される。例えば、施設の管理では、2度手間などの無駄削減やオーナーからの問い合わせに素早く対応し、信頼を得ることがあるべき姿となるだろう。一方で管理会社の本社では、オーナーやPMに対し、満足度の高い提案をすることが望まれる。さらにオーナーやPMの立場では、施設や設備の更新/修繕に対する支出が平準化され、事故などのトラブルが起きないことが幸福につながる。
柳氏は、「各階層の立場に応じて求められる理想と、そこに至るまでの課題を整理し、FMに関連するデータを一元管理することが重要だ」と強調した。
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