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【新連載】建築関係者のためのFM入門、「ファシリティマネジメント(FM)とは何か」いまさら聞けない建築関係者のためのFM入門(1)(2/2 ページ)

企業にとっての財産・資源は何であろうか。人であり、金であり、情報である。そしてもう一つ大事なものは「もの(ファシリティ)」である。一般に、人・金・情報・もの(ファシリティ)の4つが経営資源といわれる。これらをいかにマネジメントするかが、経営者の手腕である。しかし、ファシリティについては、経営資源として十分に活用されていないのが現実である。それゆえ不利益と損失を被っている。これら4つの経営資源をマネジメントすること、すなわち人は人事、金は財務、情報は情報システム、ファシリティはFMとしてマネジメントし、「第4の経営基盤」とすることが必要とされている。ある目標に向かって、これらをいかにマネジメントするかで、企業の成否は決まる。FMは日本企業が見過ごしてきた経営基盤といえる。

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FMは「施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」

 人を取り巻く環境は、「自然環境(natural environment)」「人工環境(built environment)」だが、その人工環境の総体を、ファシリティやアセットと捉えて、これらをいかに、人にとって全体最適にマネジメントするかが重要である。要するに自分が関わる人工環境をどこまでマネジメントするのが適切か、判断すればよいのではないだろうか。

 FMの教科書『公式ガイド ファシリティマネジメント』では、定義的に、ファシリティマネジメント(FM)とは、「企業・団体などが組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」としている。

◆マネジメントとは、目標を決めてPDCAを回すこと

 FMを実践する上で大切なのは、「目標管理」をすること。FMでは、品質(クオリティー)財務(コスト)供給(デリバリー)の3つのバランスを取り、目標を決めて、「PDCA(Plan→Do→Check→Act)」を回し、スパイラルアップするようにマネジメントしなければならない。

 そのFMの標準業務サイクルは、図3に示すように、「経営戦略」を受けて、「FM戦略・計画」(Plan)を立て、「プロジェクト管理/運営維持」(Do)を実行し、それを「評価」(Check)し、「改善」(Act)して、「FM戦略・計画」に反映したり、場合によっては、「経営戦略」に反映したりする。これらのサイクルを回す上で、全体を、「統括マネジメント」することが大切である。

 かつて、ファシリティマネジメントを「施設管理」と訳す人がいて、大きく誤解を受けたことがあるが、マネジメントであり経営であることが理解いただけたであろうか。


図3 FMの標準業務サイクル

著者Profile

成田 一郎/Ichirou Narita

2011年7月、社団法人日本ファシリティマネジメント推進協会(現:公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会:JFMA)常務理事兼事務局長に就任。2016年6月には日本ファシリティマネジメント協会 専務理事に就任し、現在に至る。

一級建築士。認定ファシリティマネジャー。

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