高砂熱学工業が第3弾の共同開発ベンチャーを募集、環境ビジネス創出など:産業動向
高砂熱学工業は、第3弾となる建設業界向けの新たなソリューションを共同で開発するパートナー企業の募集を開始した。対象となる技術は、建設/設備の現場管理を効率化するICTやウェルネスを考慮したオフィスづくり、環境ビジネスの3テーマ。エントリー企業は、審査を通過後に、高砂熱学工業の資金面も含めたバックアップのもと、テストフィールドでの実証実験を経て、事業展開をともに検討していく。
高砂熱学工業は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、オープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」を運営するeiicon companyとともに3回目となる「TAKASAGO ACCELERATOR 2020」を開催し、2020年4月1日から専用Webサイト上で募集を開始した。
第3弾は、3つのテーマで公募
TAKASAGO ACCELERATOR 2020は、高砂熱学工業らとともに新たなビジネスを生み出すオープンイノベーションプログラム。今回は、「環境クリエイターとして、豊かに暮らせる未来の地球を創る。」をコンセプトに掲げ、「建設/設備管理の効率化・自動化」「オフィスで働く人のウェルネスを向上させる環境づくり」「循環型社会の実現に向けた環境ビジネス創造」の3テーマでパートナー企業を募る。
建設/設備管理の効率化・自動化では、IoT活用による現場資機材の管理をはじめ、VR/ARでのプレゼンテーション、遠隔操作ロボットやスマートデバイスによる現場監視や作業指示、ドローンと3D計測技術で現場進捗管理、画像認識やセンシング技術を用いた点検業務などが想定されている。
一方のウェルネスを向上させる環境づくりでは、個々の執務者をセンシングした結果に基づく、パーソナライズされたオフィス空間の構築、オフィスで働く個人やチームの生産性を高めるIoTサービス、無線センサーやスマートデバイスなどを活用した室内温熱環境の可視化など。
3つ目の環境ビジネスは、バイオマスや廃棄物などの有価物(材料、製品、燃料)への変換の他、休耕地や遊休施設のリノベーション、AIやIoTで上記取り組みの効率化、自治体連携のサービス提供などが求められている。
プログラムの採択企業には、1社あたり最大約500万円が支援される以外に、現場の課題を熟知した開発部門のプロジェクトオーナーなどからフルコミットでサポートが受けられる。実証段階でも、高砂熱学工業のオフィスやR&D施設、建設現場、設備管理現場などが実験の場として提供される。
公募のスケジュールは、2020年5月末にエントリーを締め切る予定で、書類や面談などの選考を経て、同年9月から事業仮説を検証するPocを始め、2021年3月に成果報告会を行う。
過去2回のプロジェクトでは、2017年度の初弾で、LiLzとのIoTカメラと機械学習を活用したメータ自動読み取りサービス、2018年度の第2回は、ネインとのヒアラブルIoTデバイスを活用した音声点検サービスと、それぞれ共同開発を行っている。
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