Amazonの「LEED」認証活用事例や建物向け環境評価システムの未来など:バイオフィリックデザインの本質(3/3 ページ)
近年、大手ゼネコンが手掛けた物件で環境認証システム「LEED」や「WELL」を取得する動きが盛んだ。一方、不動産会社では、自社のオフィスに職場環境を緑化する「バイオフィリックデザイン」などを採用し、従業員の生産性向上を図っている。今回、建設や不動産業界で関心を集めるLEEDやWELL、バイオフィリックデザインの最新動向が紹介されたセミナーをお届けする。
ブラウザベースの評価システム「Arc」
セミナー後半では、バイオフィリックデザインなどを採用したアメリカとイギリスの都市における事例を紹介した。米ニューヨークでは2019年に、市内の道路に歩行者動線「High Line」を設置し、住人などが歩きやすい環境を創出し、賃貸住宅や店舗の売上向上を果たした。High Lineの周囲には、植物などが植えられるなどバイオフィリックデザインが導入された。英ロンドンでは2019年に、同市を国立公園都市化する構想を打ち出しており、都市全体にバイオフィリックデザインが活用される見通しだ。
最後に、世界で注目されているWebブラウザ上で、建物や街の環境評価が行えるシステム「Arc」について触れた。Arcは、Green Business Certificationgaが運営するArc Skoruが開発したもので、無料で使える。「エネルギー」「水」「廃棄物」「交通」「快適性」などの主要評価指標で建物や都市をスコアリングする。ユーザーが、Arcに、自身が管理する建物や都市のデータを入力することで、自動的に点数が算出される。米国では、学校がArcを導入し、子供たちが環境配慮について学べる学習教材としても活用している。
平松氏は、「インプットされた建物のデータは、世界中に存在する似たような建物の成績と比べられ、偏差値もArc上に表示される。建物の状態を常に改善していかないと、改良を続ける建物との数値がどんどん離れていく」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- LEEDとWELL、2つの認証制度の重複点に関する技術的考察
建築物の環境性能を評価する認証制度には、さまざまな種類がある。その1つであり、国際的な認証制度として普及が進んでいるのが「LEED認証」だ。本連載では一般社団法人グリーン ビルディング ジャパンのメンバーが、こうしたLEEDをはじめとする「グリーンビルディング認証」の概要や、取得のための仕組みを解説する。第3回ではLEED認証と人に配慮をした建築空間を評価する「WELL認証」における評価項目の重複点について、技術的な側面を交えながら紹介する。 - 前田建設のICIラボ「エクスチェンジ棟」が国内初“LEED V4”でプラチナ認証取得
前田建設工業は、2018年12月3日にオープンした自社施設「ICI総合センター ICIラボ」の「エクスチェンジ棟」が、国際的な建築の環境性能評価システム「LEED V4 BD+C New Construction」で、最高評価となるプラチナ認証を国内で初めて取得したことを明らかにした。 - 人と環境に優しい低VOC材、日本でLEED・WELLのクレジット取得率が低い理由
建築物の環境性能を評価する認証制度には、さまざまな種類がある。その1つであり、国際的な認証制度として普及が進んでいるのが「LEED認証」だ。本連載では一般社団法人グリーン ビルディング ジャパンのメンバーが、こうしたLEEDをはじめとする「グリーンビルディング認証」の概要や、取得のための仕組みを解説する。第4回で最終回となる本稿では、LEEDおよびWELL認証における低VOC放散評価とGREENGUARD認証について解説する。 - LEED認証とは何か、取得のメリットと概要を知る
建築物の環境性能を評価する認証制度には、さまざまな種類がある。その1つであり、国際的な認証制度として普及が進んでいるのがLEED認証だ。本連載では一般社団法人グリーン ビルディング ジャパンのメンバーが、こうしたLEEDをはじめとする「グリーンビルディング認証」の概要や、取得のための仕組みを解説する。第1回ではLEED認証の概要について紹介する。