【第2回】日本のBIM先駆者が示す「BIMが目指すゴールへの道標」:BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(2)(2/3 ページ)
本連載は、2020年度に全物件で“設計BIM化”の大望を抱く大和ハウス工業で、日本のBIM開拓の一翼を担ってきた同社技術本部 建設デジタル推進部 次長・伊藤久晴氏が、BIMを真に有効活用するための道標を示す。第2回は、BIMの成熟指標と、DXの成長指標を組み合わせたロードマップ「拡張BIMレベル(Extended BIM Level)」について解説していく。
BIMはデジタル革命を起こす原動力
この提言書の中に、BIMとDXをつなぐキーワードがある。成長戦略として、第4次産業革命を実現すべく、最大の資源となる「データ」を利活用するための環境をいち早く整備し、世界に先駆けイノベーションを生み出して、よりスマートで豊かな暮らしを実現することを目標に、各分野で取り組むべき戦略を示している。
提言書内の個別領域におけるDX促進という項目では、「建築改革をもたらすBIMの普及促進」とある。政府与党が、経済成長戦略に不可欠なDX推進のために、BIMを普及させることで建築改革をもたらすと、明確に打ち出したことに他ならない。
提言書p22で示す「国が主導した関係者の協議の場」というのが、国土交通省の「建築BIM推進会議」であり、指定確認審査機関などによる確認申請の電子化対応を進めているのが「建築確認におけるBIM活用推進協議会」に相当すると考えられる(筆者も両方の会議に参加させていただいている)。
つまり、日本の科学技術政策や経済成長戦略の具体的な施策として、BIMの普及促進があり、DX全体像の重要なテーマと見なされている。DXを第4次産業革命とするならば、BIMがデジタル革命を起こす原動力として期待されていると言っても過言ではないはずだ。
具体的な方策として、私は、国土交通省が進めている「建築BIM推進会議」の「建築BIMとは」という資料でも、「将来BIMが担うと考えられる役割・機能」で、「プロセス」「データベース」「プラットフォーム」と書かれている部分に注目している。
私の提唱するEBLでは、「プロセス」はLevel2〜3の「iBIM(Integrated BIM)」「eBIM(Evolution BIM)」に該当し、「データベース」「プラットフォーム」は、その次のLevel4の「DI(Digital Integration)」に当たる。最終フェーズのLevel5「DX(Digital Transformation)」は、新しいビジネスモデルを作ることなので、簡単には答えは出ないが、BIMがLevel4まで進み、建物の設計・施工・竣工後の「データ」を利活用する仕組みが構築できれば、おのずとDXについて多くの答えが導き出されるだろう。
BIMとデータベースの関連性について〜一気通貫BIMの先にあるデータの利活用〜
まず、DI(Digital Integration)の段階で、カギとなる「情報データベース」のBIMとの関連性について、少し説明しておく。
私はこれまで、建物のライフサイクル全般でBIMモデルの3次元形状と情報を活用しようとする「一気通貫BIM」というものが、「BIMの目指す姿」だと確信していた。
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