「目指すはアジア・中東でのシェア確立。カギは新IoTダッシュボード」、日立ビルシステムの事業展望を聞く:次世代のスマートビルサービス(5/5 ページ)
日立ビルシステムは、事業の柱であるビルシステム事業で、日立のIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」をコアに据えた新規サービスの開発に力を入れている。これまで売り上げの大半を占めていたエレベーター(EV)やエスカレーター(ES)の製造販売と保守点検だけにとどまらず、ビル設備の領域でも事業を拡大させ、昇降機とビルサービスの両輪でグローバル市場でのシェア獲得をうかがう。
点検作業員のタブレットとデータ連携
深尾氏 運行制御の機能では、台風に伴う冠水に備えて、カゴを最上階にあらかじめ避難させる冠水退避運転の設定以外にも、夜間に人がいなくなる階をスルーさせたいときは、待機階や不停止階の設定などをスマホ上で行える。
カゴ内のモニターについても、イベント開催スケジュールの他、天気/ニュース、防犯カメラ映像、オフィスビル利用者へのお知らせなどオリジナルのJPEGやテキストなどに、コンテンツもフレキシブルに変えられる。
深尾氏 他社のサービスと違うところは、点検作業員が現場で持つタブレットとデータ連携しているため、各設備がいつ点検されるか可視化される点にある。点検結果も、簡易的な○X式だけではなく、ブレーキの起動時間や釈放時間といったチェック項目が細かく入力されているため、設備の状態が正確につかめる。
今後、BUILLINKは、エレベーターだけでなく、ビル設備にも対象を広げ、ユーザーとのコミュニケーション強化の目的で、アプリ化も見据えたチャット機能も実装させる予定だ。
――ビルシステム事業全体で目指す将来像
深尾氏 日立ビルシステムでは、2020年度をフェーズ2の年度と位置付け、グローバル管制センターを核に、EV/ESのチャンネルを活用して、昇降機事業とサービス事業の両輪で、ビル分野でのLumadaによる遠隔監視サービスをグローバルで拡大させ、収益力を上げていく。
そのフックとなるのが国内メーカーに先んじ、海外メーカーを凌駕するサービスであるBUILLINKで、2020年度中には、アジアでも提供を始める。ビル設備全体への対応やチャット機能を搭載させ、ビルオーナーやビル管理者とのつながりを強化することで、ビル設備全体の受注拡大を目指す。
日本の拠点は、グローバルマザー機能として、ここに集約したデータを活用し、新たなIoTビルサービスを創出する。中国では、昇降機No.1メーカーを目標にしつつ、同国内の4都市にある製造拠点を起点に、新規市場(インド、サウジアラビア、カンボジア、ベトナムなど)での新設需要を確実につかみ取り、アジア・中東でビルシステム事業会社としての確固たる地位を築いていきたい。2021年度には国内外合わせたビルシステム事業のサービス比率を、現状の約42%から47%以上に押し広げ、ビルサービス事業単体で売上収益3000億円を目標としたい。
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