狭小部のアスベスト含有吹き付け材を除去する新工法を開発:新工法
大成建設は、建物の改修や解体工事で役立つアスベスト除去技術の開発に注力している。2020年1月14日には、手作業で対応することが難しい狭小部に付着しているアスベスト含有吹き付け材を効率的に取り除く新工法を開発したことを公表。新工法は、これまでのものと比べて、工期の短縮やコストカットにも貢献するため、同社は積極的に現場に導入していく方針だ。
大成建設は2020年1月14日、外壁パネルと柱の間などの狭あい部に付着しているアスベスト含有吹き付け材を少水量の高圧ウォータジェットを使用し、短納期・低コストで安全に除去する「T-ジェット」工法を開発したことを発表した。
養生で発生する廃棄物を30〜50%削減
従来アスベスト含有吹き付け材の除去は、人の手が届かない場所に対して行う場合、外部足場を含め作業箇所全体をシートなどで覆う隔離養生を実施し、外壁パネルを外した後に、手作業で除去していた。だが、この方法を用いると、外部での養生や外壁パネルの撤去といった作業が発生するため、工期やコストが増大するという課題があった。
こういった課題を解消するために、大成建設はT-ジェット工法を開発した。Tジェット工法は、独自開発した先端が回転する特殊なノズルヘッドや曲り配管を組み込んだハンドガンと、少水量型の高圧水発生装置を組み合わせ、狭小部に付着しているアスベスト含有吹き付け材を除去する。
利点には、外壁パネルを外さずに、最小限の養生で業務を進められることに加え、水噴射の水圧や噴出孔の本数、角度、ヘッドガン内部の配管の長さ、曲げ率なども案件に合わせて設定できることが挙げられている。さらに、養生する区画範囲が狭くて済むので、これまでに比べて養生で発生する廃棄物を30〜50%削減し、コストカットに貢献するとともに、業務にかかる時間が短縮するため、工期が半減し、作業で要す費用も減らせる。
今後の展開について、大成建設は、建物の改修や解体工事でT-ジェット工法を積極的に導入するとともに、既存の解体技術とも連携し、解体工事全体の最適化を推進。また、T-ジェット工法を改良し、作業性と安全性を高めながら、将来的には、無人化と機械化に向けた技術開発に取り組んでいく。
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