300mを潜行するFullDepthのクラウド型水中ドローン、ダムや洋上風力発電の点検に導入:ドローン(2/3 ページ)
水中ドローンに特化して機体の開発とクラウドサービスを展開しているFullDepthは、2019年10月に最大潜行深度300メートルの新機種を市場投入した。
独自のクラウドサービスでデータを蓄積
ドローンとセントラルユニットをつなぐケーブルは、潮の抵抗を受けにくい直径3.7ミリの光ファイバーケーブルを採用。水中では電波が届かないため、操作やデータ受信にはケーブルは必須となるが、テストケースでは1.5キロもの長さで運用した実績がある。
機体の操作方法は、市販のゲームコントローラで代替し、操作パッドでドローン自体の動きと、カメラの上下の画角やピント合わせをコントロールする。直感的な操作方法のため、誰でも2〜3時間も練習すればマスターしてしまうという。
ドローンが取得したデータは、船上のセントラルユニットを介して、独自のクラウドにアップロード。離れた場所にいてもリアルタイムで映像を共有し、クラウド上に蓄積される水深や水温などの各種データを用いて検証・比較に役立てられる。
FullDepthの優位性ともいえるのが、本体からクラウドまで一括して開発している国内メーカーのため、ユーザーのニーズに応じたオプションサービスが用意されている点だ。その一つ「マルチナロービームソナー」では、濁っている水中でも、最大100メートル先まで音波を飛ばし、水中の地形や構造物の形状を潜水艦のソナーのように可視化する。
また、「USBL(Ultra Short Base Line)」というオプションでは、船上にGPSコンパスを立て、水中にUSBLビーコンを配置し、ドローンにトランスポンダ(応答装置)を積むことで、ビーコンから発した音でドローンの位置を特定する。
対象物の座標が事前に分かっていれば、その座標にドローンを近づけていくことで、撮影対象にたどり着ける。逆に対象物がどこにあるか分からない場合は、探索した地点や発見した場所の座標をドローンの位置情報から把握できるため、より高度な水中探査が行える。
DiveUnit300の販売形態は、基本は保守・メンテナンスも含めたサブスクリプションで月額20万円。本体のみの販売は数百万円からで、オプションなど全て含めると1000万円ほど。
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