魚群探知機でダム貯水地を3Dマッピング、安価・短納期・高精度を実現:建設技術フォーラム(1/2 ページ)
中央開発は、20万円以下のGNSS魚群探知機を活用したダム堆砂状況把握技術「ソナーマッピング」を開発し、安価に湖底の状況を調べられるサービスとして普及啓発に注力している。
国土交通省 関東地方整備局は2019年11月20日、埼玉県さいたま市のさいたま新都心合同庁舎で、建設技術フォーラムを開催した。今回の解体後に移築が可能なは「“X-Tech.”(クロステクノロジー)を実現する新技術」をテーマに講演や技術展示などが繰り広げられた。
当日の講演のうち、中央開発 理事 技師長の長田実也氏が行った技術発表「魚群探知機を用いたダム貯水地3Dマッピング〜新しい貯水池土砂管理〜」を紹介する。
湖底の土砂堆積状況を見える化
長田氏は、スポーツフィッシングなどの分野で普及している米LOWRANCE製GNSS魚群探知機を用いたダム堆砂状況把握技術「ソナーマッピング」を説明した。
ソナーマッピングのワークフローは、GNSS魚群探知機をゴムボートなどの小型調査船に取り付け、ダム湖上を航行し、位置情報付き測深データ(点群データ)を収集する。このデータを基に市販の専用ソフトウェアで、3次元地形モデルを作成し、湖底地形図に加工した後は、等深線図や等高線図、任意の縦横断面図として出力できる。
具体的な調査手順は、小型の調査船でダム湖上の航路(約50メートルメッシュ)を時速5キロで航行。装着した魚群探知機で、毎秒3〜4点の超音波測深データをGNSS受信電波と同調させて記録する。
取得した数万点以上の測深情報を市販のソフトウェアで処理し、水底の3D地形モデルを作成し、各種地形図にしてアウトプットする。これまで実施されてきた側線上で深浅測量では不透明だった湖底の土砂堆積状況を見える化する。
同じ広さの湖底をレッド測深とソナーマッピングで比較調査した結果についても言及された。レッド測深では側線10本で500点の点群情報しか取得できなかったが、ソナーマッピングでは10時間で、その150倍にあたる7万2000点の点群が得られたという。
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