「ジャイロプレス工法」を建築物の基礎工に国内初導入した技研高知工場が竣工:導入事例
技研製作所は、独自の「ジャイロプレス工法」を基礎工に用いた「高知第三工場」が竣工し、2019年11月25日に稼働を開始した。
技研製作所は、鋼管杭を地上から直接回転切削圧入する「ジャイロプレス工法」を日本で初めて基礎工に用い、7億5000万円の投資額で建設を進めていた新工場が高知県香南市で竣工した。
大型製品の開発/試作/検証に応じる国内最大の新工場
新開発拠点の高知第三工場は、高知県内で3つ目となる工場で、建設場所は技研製作所が県内に所有する6カ所のテストフィールドの一つ「赤岡テストフィールド」の敷地内に新設された。建築面積は、高知本社工場の約1.4倍となる3516平方メートル。
設備は天井クレーンが最大吊上荷重30トン、揚程10メートルの2基を含む6基を備える。既存工場(関東工場2拠点、関西工場、高知本社工場、高知第二工場)の中では、最大の規模となる。近年、主力化している大型製品の開発/試作/検証に対応し、今後のグローバル展開に向けた製品開発を加速させる拠点となる見通し。
工場の基礎杭は、技研製作所が開発した「ジャイロプレス工法」を採用し、先端に「リングビット」と呼ばれる切削爪の付いた鋼管単独杭54本(杭径φ800〜1000で、杭長15.0〜15.8メートル)を地上から直接回転切削圧入して構築した。ジャイロプレス工法は、これまで堤防の補強工事や道路/港湾工事などで採用されてきたが、建築物の基礎杭施工に用いるのは国内初だという。
施工管理では、圧入管理システムと新開発の杭精度管理システム「インプラントNAVI」を用いた。インプラントNAVIは、360度プリズムと杭の上下部をトータルステーションで自動計測してリアルタイムに座標データを取得し、圧入施工を高精度にナビゲートする。現場では、支持層への貫入確認や杭の貫入深度、杭芯の変位、傾斜データをリアルタイムに計測して、高精度な施工が実現した。
今後は高知第三工場をモデルケースとして、これまでに培ってきた土木技術を建築分野へも応用展開を進めていくとしている。
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